くらし

手を使わずに傘を差せます 85歳、脳梗塞の経験をバネにグッズ開発

「傘さしエイド ベルト君」を装着した神宮司房義さん。傘の持ち手部分が正面のポーチ内で固定される=東京都三鷹市の自宅で2021年11月、谷本仁美撮影

 手を使わずに傘を差すことができるアイデアグッズを、東京都三鷹市の男性が開発した。脳梗塞(こうそく)の後遺症で体が不自由になった自分の経験に基づいたアイデアで、市販されている同様の商品よりも構造がシンプルなため、視覚障害のある人にも好評だという。

 グッズの名称は「傘さしエイド ベルト君」。三鷹市の元テレビ局社員、神宮司(じんぐうじ)房義(ふさよし)さん(85)が作った。ベルトが付いた小さな布製のポーチ型(縦12センチ、横18センチ)で、ウエストポーチのように腹部に固定。傘の棒を別のゴムベルトに通して体の前面に斜めがけにし、傘の持ち手をポーチ内に入れて固定すれば、手を使わずに傘を差すことができる。昨年11月、特許庁に商標登録した。

 子どもの頃から物を作るのが好きだった神宮司さんは、2015年に脳梗塞を発症。歩行が困難になるなど後遺症が残ったが、利き手が自由に使えるため、これまでも自分でパンツや靴下をはく支援具など、体の不自由さを解消するアイデアグッズを当事者の視点から次々と開発してきた。

 雨の日は歩行器を押しながら傘を手に持つため足元がふらつきやすく、便利なものができないかと考えていたところ、傘の持ち手が偶然上着のポケットに入って少し固定された出来事がヒントになり、5年以上かけて試行錯誤を続けてきた。その結果、ポーチを「ポケット」として使って傘の持ち手を固定するというアイデアに行き着いたという。

 神宮司さんが、ネット交流サービス(SNS)で「ベルト君」を紹介すると、視覚障害がある人から「ぜひ使ってみたい」との反響があり、実際に使った人からは「レインコートは持ち運びにかさばるので、非常に便利だった」との声が寄せられた。盲導犬ユーザーからも「コンパクトで軽く、すぐに装着できた」との感想があったという。

 神宮司さんは「本当に人の役に立つものを生み出せた。ものづくりを続けてきたかいがあった」と喜んでいる。ベルト君はカメラマンやベビーカーを使う親からも好評で、「障害の有無にかかわらず、多くの人に使ってほしい」と話す。

 商品は黒、グレー、緑の3色で2000円(税込み)。縫製は三鷹市内の社会福祉法人三鷹ひまわり会の作業所に発注し、精神障害のある人も支える仕組みを整えたという。問い合わせは神宮司さん(090・7019・2353またはpbsjinguji@ray.ocn.ne.jp)。【谷本仁美】


(毎日新聞)









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