政治

「基地」も「コロナ復興」も 沖縄知事選、参院選からみ激戦か

沖縄県知事選で出馬要請を受けた現職の玉城デニー氏(左)と、自民県連の知事選候補に選ばれ、壇上で拍手する佐喜真淳氏=いずれも沖縄県内で2022年5月28日、比嘉洋、竹内望撮影

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画に大きな影響を与える沖縄県知事選(9月11日投開票)は28日、2018年の前回選と同じ顔ぶれの対決となる構図がほぼ固まった。自民党沖縄県連はこの日、前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏(57)の擁立を決定。現職の玉城(たまき)デニー知事(62)も6月11日に再選出馬を表明する方向で調整している。約8万票の大差で玉城氏が勝利した前回選から4年。沖縄最大の政治決戦は日本復帰から50年を迎えた沖縄の今後を左右する。

 「政府との信頼関係が冷え切ってしまった現県政では、沖縄の可能性ある未来を託すことはできない」。自民県連が28日に那覇市で開いた候補予定者5人による公開演説会。佐喜真氏は辺野古移設を巡って政府と対立する玉城氏の県政運営を批判し、政府との協調による経済振興を強調した。

 前回選後も、佐喜真氏は街頭での手振りや演説などを重ね、知事選への再挑戦に意欲を見せてきた。だが、政府・与党内では前回の票差から佐喜真氏が「勝てる候補」となるのか疑問視する声もあった。水面下では西銘(にしめ)恒三郎沖縄・北方担当相(衆院沖縄4区)らの擁立を探る動きも出たが、西銘氏らは出馬を固辞した。

 自民県連は5月に設置した選考委員会で候補者を絞り、公開演説会を経て選ぶ形を取った。有力候補は新たに現れず、結局は佐喜真氏に。県連関係者は「佐喜真ありきじゃないかという声もあったので、オープンにやった結果だとアピールする狙いがあった」と解説する。

 佐喜真氏は擁立決定後、夏の参院選沖縄選挙区に立候補する自民新人の事務所開きに駆けつけた。自民県連は全県選挙となる参院選で勝利し、知事選に勢いを付けたい考えで、県連会長の中川京貴(きょうき)県議は「基地問題も避けて通れないが、それ以上に暮らしと生活、新型コロナウイルスで冷え込んだ経済をどう立て直すかがポイントになる」と指摘する。

 一方、玉城氏はこの日、沖縄市で子育て世代の有志らから出馬要請を受けた。佐喜真氏の擁立決定を記者団に問われると、コロナ禍からの県経済の復興やロシアによるウクライナ侵攻を挙げ、「4年前と違う状況による争点で、候補者同士の論戦が交わされるのではないか」と語った。

 玉城氏は守勢に立つ。前回選では任期中に急逝した翁長雄志(おなが・たけし)・前知事の後継として辺野古移設阻止を掲げて出馬。「弔い合戦」のムードも後押しし、大差で初当選したが、その後は支持基盤の「オール沖縄」勢力の退潮が顕著だ。

 政府は玉城氏の就任後、辺野古沿岸部の埋め立て工事に着手し、埋め立てに「反対」が7割を超えた19年2月の県民投票以降も工事を続ける。こうした中、保守の立場からオール沖縄を支えた経済界の有力者が離脱。昨年10月の衆院選は、玉城氏が衆院議員時代に当選を重ねた沖縄3区で議席を自民に奪われ、今年は移設工事が進む名護市などの4市長選で玉城氏側の候補が全敗した。

 さらに長引く新型コロナの感染拡大は観光業に大打撃を与えた。県経済の状況は厳しく、自民側は「県政不況だ」と攻勢を強める。知事を支える県議は「夏の参院選で敗れれば、知事選は厳しい状況に追い込まれる」と危機感をあらわにし、「コロナ禍で県民の関心は基地より暮らしの問題にシフトしているが、『基地か経済か』を選ばされ続けている沖縄の現状を(選挙戦で)問い直さなければいけない」と話す。

 辺野古移設計画では現在、埋め立て予定海域の軟弱地盤改良工事を巡って、政府と県が対立し、法廷闘争になる見込みだ。知事選の結果はこうした対立の行方や移設計画の今後を左右する。【比嘉洋、竹内望】

 ◇沖縄県知事選を巡る経過と今後の流れ

<2022年>

1月23日……米軍普天間飛行場の移設工事が進む名護市の市長選で政府・与党系の現職が玉城デニー知事が支援した新人に勝利

5月1日……自民県連が知事選候補者の選考委員会を発足

5月21日……自民県連が候補者を7人に絞る(後に2人が辞退などし、5人に)

5月28日……自民県連が佐喜真淳氏の擁立を決定

6月11日?…玉城知事が再選出馬を表明?

7月10日?…参院選投開票

8月25日……知事選告示

9月11日……知事選投開票


(毎日新聞)









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