経済

1杯目から日本酒を 若者ターゲット アルミ缶入り飲みやすさ追求

「日本盛 JAPAN SODA 180mlボトル缶」=日本盛提供

 「1杯目から選んでもらえる日本酒」をコンセプトに、大手酒造会社が17日、アルミ缶ボトル入りの日本酒の新商品を発表した。低アルコール・微炭酸入りと飲みやすさを追求したのが特徴だ。日本酒を敬遠しがちな若い世代をターゲットに据え、幅広い食事に合うテイストで飲用機会の拡大も狙う。

 清酒大手「日本盛」(兵庫県西宮市)が3月28日に全国発売するのは「日本盛 JAPAN SODA 180mlボトル缶」。「1杯目に選んでもらえる日本酒」をコンセプトに、アルコール度数を日本酒としては低い7%に抑えつつ、こってりとした食事にも合うように微炭酸入りとし、甘さを抑えて飲みやすくした。缶コーヒーや缶スープと似た、飲み口の広いキャップ式のアルミ缶ボトルに入れ、気軽に試せる小容量タイプにした。

 日本盛が、厚生労働省の「国民健康・栄養調査(19年)」を分析したところ、20~40代では、1日に飲むお酒の量が「1~2杯相当」の割合が、男性は約8割、女性は約9割と圧倒的に多かった。このことから同社は「飲酒の後半に飲まれる傾向が強い日本酒は、選択肢になりにくい状況にある」と分析し、“1杯目”に選ばれるような商品にこだわったという。

 日本酒の国内市場は縮小に歯止めがかかっていない。日本酒造組合中央会のデータによると、国内出荷量は1973年をピークに減少を続け、21年にはピーク時の約4分の1になった。チューハイなど他のアルコール飲料にシェアを奪われているほか、「若い世代の低アルコール志向が進んでいることも要因とみられる。次世代の消費者の獲得は業界の大きな課題」(同社)。新たな需要を創出するため、酒造各社は近年、低アルコールの日本酒の商品開発に力を入れている。

 日本盛の担当者は「次世代の方々のファンを作っていかなければ、我々の存在価値もなくなり、日本の文化も途絶えてしまう。この商品を、通常の日本酒のおいしさを知ってもらえるきっかけにしたい」と話している。【町野幸】


(毎日新聞)










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