社会

在日コリアンの女性 日本語を学ぶ喜び

生野オモニハッキョの40周年を祝う会で、自分が書いた作文を読む李京姫さん(中央)=大阪市生野区で2017年7月16日午後2時9分、貝塚太一撮影

 ◇40周年祝う会 68歳李さん、作文朗読して感謝の言葉

 在日コリアンの女性が日本語を学ぶ民間の夜間学校「生野オモニハッキョ」(大阪市生野区)が今月、設立40周年を迎えた。約20年前から学ぶ李京姫(イ・キョンヒ)さん(68)は、幼い頃に朝鮮戦争に遭遇して一家が離散し、20代で大阪に来た。「たくさん学ぶことができ、大好きな先生や仲間と過ごせる場所」。16日、40周年を祝う会で生徒代表として学んだ日本語でつづった作文を朗読し、感謝の言葉を贈った。

 韓国・ソウルで生まれたが、1歳の時に始まった朝鮮戦争(1950〜53年)で父は行方不明になった。李さんは済州(チェジュ)島の祖母の家に預けられ、母は出稼ぎのため日本に渡った。

 母を追って大阪へ来たのは26歳。若い頃は週6日、朝6時から夜11時までサンダル工場で働いた。合間にひらがなの本を開き、テレビの歌番組で日本語を覚えた。見よう見まねの日本語。役所で住所記入を求められると、手が震えた。うまく書けず、笑って書類を渡す自分が嫌だった。

 学校に出会ったのは98年。「学校は落ち着く。優しい先生と仲間がいる」。学びの場であり憩いの場でもある学校は、李さんに余裕をもたらした。作文の最後をこう締めくくった。「この歳になってやっとすこし心のゆとりができたようで、これからはまわりの人に気配りをしながら楽しく生きたいと思います」【伊藤遥】

 ◇生野オモニハッキョ

 1977年設立の民間識字学校。韓国朝鮮語で「オモニ」は母、「ハッキョ」は学校。コリアタウンのある大阪市生野区の聖和社会館で、毎週月、木曜の午後、年配の在日コリアン女性約30人が日本語の読み書きを練習している。


(毎日新聞)