社会

「水際で食い止めろ」敦賀港でも

アリ用の殺虫餌(手前)と調査用トラップを仕掛ける敦賀港湾事務所の職員=福井県敦賀市金ケ崎町の敦賀港鞠山南地区国際物流ターミナルで2017年7月14日午後2時27分、近藤諭撮影

 南米原産で強い毒を持つ「ヒアリ」が国内各地で相次いで発見されている。海外で毎年死者が出るなど危険な上、繁殖力も高く定着すれば国内の生態系への影響も懸念される。これまでは神戸港や大阪南港など太平洋側での発見に限られているが、環境省はヒアリが生息する中国などとの定期便がある敦賀港(福井県敦賀市)など全国68港で毒入りの餌を設置することを決め、北陸でも水際対策が急がれている。【近藤諭】

 ■敦賀港も警戒

 中国・上海からのコンテナ船が週1便到着する敦賀港では14日、福井県港湾航空課の職員らが鞠山南地区国際物流ターミナル内にアリ用殺虫餌45個と、捕獲調査用トラップ10個を仕掛けた。殺虫餌は1匹が巣に持ち帰ることで集団単位で駆除できるため、港から各地に拡散することを防ぐことができるという。

 国土交通省からの通知を受け、県は6月20日からターミナル内の点検を毎日行っているが、現時点で発見されてはいない。これまで発見されたヒアリのほとんどが関連している中国・広東省の南沙港からの貨物を敦賀港では扱っていないが、同課の田中丈博課長補佐は「水際で侵入を食い止めることが何よりも重要。気は抜けない」と話す。

 ■海外では農作物にも被害

 ヒアリは南米のブラジルやアルゼンチンが原産地で、貨物に紛れるなどして米国や中国などに生息地を拡大している。攻撃的な性格で働きアリの体長は2・5〜6ミリ。毒針で刺されると焼けるような痛みがあることから「火蟻(ひあり)」とも呼ばれ、呼吸困難で死亡することもある。

 また、農作物が食べられたり、家畜が傷つけられたりすることもあり、農畜産業ではヒアリ対策への投資が必要になる可能性がある。このため、国は外来生物法で特定外来生物に指定し、輸入などを禁止している。

 ■越冬の可能性も

 ところが、今年5月26日に国内で初めて兵庫県尼崎市で発見されると、神戸港や名古屋港などでも相次いで見つかった。今月10日には名古屋港から内陸部の愛知県春日井市に運ばれた貨物からヒアリを確認。同じように貨物とともにヒアリが拡散する可能性がある。

 一方、ヒアリは日当たりがよい公園などの暖かい場所にアリ塚を設けるため、冬は寒く積雪がある北陸地方などでは定着しないとする指摘もある。これに対し、福井市自然史博物館の梅村信哉学芸員は「工場の近くなど、他より暖かい場所で繁殖することも考えられる。環境に適応できる個体が現れると定着する可能性も否定できない」と話し、注意を呼びかけている。


(毎日新聞)