社会

高機能集音器で居場所把握 鳴き声に雄が返事

高機能の集音器を使ったシカ対策を説明する山形大の江成広斗准教授=山形市の同大で2017年7月6日午前11時59分、二村祐士朗撮影

 山形大農学部の江成広斗准教授(野生動物管理学)は、鳴き声に着目してニホンジカの生息を突き止める新たな調査方法を発表した。カメラなどを使った従来の方法よりも的確に個体の居場所を把握できるという。シカの生息域があまり広がっていない山形など東北地方での調査に最適だといい、農作物や山林のシカによる食害防止につながると期待している。

 江成准教授によると、縄張りに侵入した相手に警告する雄ジカの鳴き声の録音を流すと、雄ジカが反応して鳴き返すという。また雄ジカは、秋ごろに雌を求めてよく鳴く。いずれも高機能の集音器を使って、居場所を容易に把握できるという。

 これまでシカの生態調査は、固定カメラでの録画やフンで確認する手法が一般的。ある程度の集団の個体数把握には役立つが、1頭単位での発見は困難だったという。シカの生息域拡大について、江成准教授は縄張り競争に敗れた雄が、単体で別の場所に移動することが主な原因とみており、今回の技術が食害防止に役立つと考えている。

 江成准教授は「既存の方法よりコスト削減も見込める。国や県、関係団体の間でも普及すれば」と期待する。この調査手法は専門誌にも掲載予定という。

 環境省や農林水産省などによると、ニホンジカの個体数は2013年度末で約305万頭。関西など西日本での生息が多く、青森、秋田、山形などにはまだ広まっていないという。【二村祐士朗】


(毎日新聞)