社会

宿泊領収書巡り対立 安藤ハザマと東京地検

宿泊費水増しの構図

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染事業を巡り、準大手ゼネコンの安藤ハザマ(本社・東京)が除染作業員の宿泊領収書を改ざんし、発注元の福島県いわき市と田村市から宿泊費の支払いを受けたとされる問題で、詐欺容疑で捜査を進めている東京地検特捜部と、同社側の見解が対立している。特捜部は、東日本大震災の復興事業に関する特例を悪用して不正な利益を得たとみているが、同社側は「領収書改ざんは事実だが、不正受給はしていない」と主張する。

 同社は6月9日、同社社員が下請け業者に指示して宿泊単価を増やしたり、作業員の人数を実際より多く見せかけたりした領収書を作成させていたと発表。いわき市に約5300万円、田村市に約2700万円水増しした書類をそれぞれ提出していたと説明した。

 特捜部は同19日に同社本社などを家宅捜索。関係者の事情聴取を進めるなど捜査を続けている。

 一方、今回の問題を受けて同社が事実の解明を依頼した弁護士らでつくる調査委員会は、今のところ、調査結果を発表していないが、関係者によると「不正受給はなかった」とする報告書がほぼまとまったという。

 同社調査委と特捜部の見解の違いの前提となるのが、国が2012年に出した通達だ。通達は、自治体が発注する除染事業では各地から作業員を確保する必要があるため、宿泊費については「領収書」か「宿泊金額が分かる証明書」を提出すれば、実費精算を認めると定めている。

 関係者によると、同社側は「実際に作業員は宿泊していたものの、精算する段階で入手できていない領収書があったため、改ざんしてつじつまを合わせた」と主張。精算時点で自治体側との事業契約額全体は既に決まっていたとして、「改ざんして請求した分を含めると、ちょうど契約金額に達していた。結果として不正受給はしていない」としている。

 これに対し、検察側は、国の通達が「領収書」でなくても「宿泊金額が分かる証明書」があれば足りるとしている点に着目。検察幹部は「領収書がなくても、下請け業者への振込額が分かる証明書があればそのまま請求できるのに、あえて領収書の改ざんをしている点で不自然さはぬぐえない」と指摘する。特捜部は、公費である除染事業費を過大に詐取していたとの疑いを強めている。【飯田憲、平塚雄太、巽賢司】


(毎日新聞)