社会

「自己責任論」で賛否の渦 著名人も発信

成田空港に到着し、笑顔を見せる安田純平さん=成田空港で2018年10月25日午後6時36分、梅村直承撮影

 内戦下のシリアで武装勢力に拘束され、3年4カ月ぶりに解放されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を中心に「自己責任論」の渦に巻き込まれている。「自ら紛争地域に入って拘束されたのだから自己責任」という批判だが、スポーツ選手やタレントも議論に参戦。著名人による賛否の発信が、さらなる話題となっている。

 自己責任論は、2004年に日本人3人が、イラクで武装グループに拘束された際にわき起こった。安田さん自身も同年、イラクで拘束された際に「外務省が退避勧告を出していたのだから自己責任だ」との批判に見舞われたことがあった。

 米大リーグのカブスに所属するダルビッシュ有投手(32)はツイッターで、「自己責任なんて身の回りに溢(あふ)れているわけで、あなたが文句をいう時もそれは無力さからくる自己責任でしょう」との考えを述べた。

 ツイッターには「(安田さんが拘束されたのは)自業自得」と異論も寄せられたが、「誰かがいかないと内情がわからない」「そういう人たちがいるから無関係な市民が殺されるのを大分防いでいると思いますけど」などと反論。さらに、1994年のルワンダ大虐殺も例に出し、「ルワンダで起きたことを勉強してみてください。誰も来ないとどうなるかということがよくわかります」と持論を展開した。

 サッカー元日本代表の本田圭佑選手(32)は「色々と議論がされているけど、とにかく助かって良かったね」と投稿。ダルビッシュ投手の発信にも反応し「僕も色んな国に好きで行く。しかも政治やビジネスに関して好きな事言うので、このまま拘束されたりしたら、ホンマにヤバいかもっていつも思ってます」と明かした。

 一方で、タレントのJOYさん(33)は、安田さんへの批判に触れ「過去の発言や態度からすると仕方ないのかな。拘束も何度もされてますし」と投稿。解放交渉の過程で、カタールが身代金を支払ったとの報道があることについて「結果的にそれが彼ら(武装勢力)の支援金になる」と指摘した。

 落語家の立川志らくさん(55)は「安田さんの自己責任論は上がってしかるべしだと思う」としながらも「とにかく助かったんだからまずは良かったねと言うべき。それがあってからの議論であり非難だと思う」と書き込んだ。【田中義郎、金秀蓮、岩間理紀】


(毎日新聞)