社会

桜えび、うなぎ、わさび…ニッチな地サイダーが躍進

ユニークな味の地サイダーやラムネを販売する木村飲料の木村英文社長。自宅兼本社には80種類以上のカラフルな瓶が並ぶ=静岡県島田市で古川幸奈撮影

 ◇島田市の飲料メーカー「木村飲料」が地元の名産使用

 桜えびサイダーにうなぎコーラ、WASABIジンジャーエール−−。静岡県島田市の飲料メーカー「木村飲料」は地元の名産を使った地サイダーやラムネなどユニークな味の商品開発で躍進を続けている。さまざまなアイデアで「サイダーは夏の飲み物」という固定観念も覆し、冬でも売れ行き好調だ。【古川幸奈】

 島田市内の住宅街にある社長の自宅兼本社には、80種類以上のカラフルな瓶が並ぶ。木村飲料は1953年創業で、3代目社長の木村英文さん(62)は「へそ曲がり商品こそ、中小が生き残る道」と力を込める。

 独自路線を歩み始めたのは2000年代に入ってから。当時、低価格化競争のあおりなどを受け、地場の中小メーカーが次々と経営難に陥った。同社も苦しい経営を強いられ、「体力勝負では大手に太刀打ちできない」。悩んだ末に思いついたのが個性的な味の追求だった。

 「こんな奇抜なものは無理」と社員の反対に遭いながら、07年にカレー味のラムネを発売。スパイスの風味とラムネの甘さのマッチングが人気を集め、年間約100万本も売れるヒットを記録した。その後もユニークな商品を考案。県内の「道の駅」や高速道路のサービスエリアなどで販売され、土産物としても定着した。

 商品開発を担当するのは弟で専務の寿之さん(60)。うなぎ味やメロンパン味など社員のアイデアを受け止め、味を調整する。事前の市場調査はしないのがポリシーで、「売れなかった場合のリスクを経営者が負うことで自由な発想が生まれる」と寿之さんは語る。

 ユニークな味で勝負する中小メーカーは各地にある。富山県の「トンボ飲料」は「北陸・ご当地ドリンクシリーズ」を展開。ラーメンをイメージし、辛めでしょうゆ風味の「富山ブラックサイダー」などを手がける。佐賀県の「友桝(ともます)飲料」は、自治体などの依頼を受けて「地サイダー」をプロデュース。同社の友田諭社長は「中小メーカーは少ない量でも生産可能で、会社が地域と一緒に発展できる」と話す。

 全国清涼飲料連合会によると、今年8月現在で全国に663の地サイダー銘柄があり、種類は増えている。一方で、メーカー数は減少しているといい、木村社長は「廃業した同業者の分まで新しい商品を作り、話題にしていきたい」と意気込む。


(毎日新聞)