社会

透析中止「同意書がないなんて」 患者から不安の声

女性死亡までの経過

 都が9日、医療法に基づき文書指導した公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題。治療を中止、または最初から行わない非導入の患者計21人の同意を証明する文書はなかった。「同意書がないなんて」。透析患者からは不安の声が漏れた。

 「『治療を中止する』などという(医師の)言葉は聞いたことがない。そんな形で命を失いたくない。同意書が残されていないなんて、とても恐ろしい」

 埼玉県内の女性は語気を強める。透析治療を始めて約18年。昨年8月に透析治療をやめる選択肢を示されて亡くなった女性と同じ40代だ。今年1月に透析用血管の分路(シャント)が閉塞(へいそく)した時、インフルエンザにもかかっていた。「シャントを再建する手術ができないかも」と不安を感じたが、何とか治療を続けられたという。

 女性によると、担当医は「まだ若いから、いろいろな選択肢があります」と、常に声を掛けてくれるという。「『やめたら死につながる』という選択肢を示されて亡くなった方が気の毒でならない」

 透析治療を約40年続ける横浜市旭区の市村登巳江(としえ)さん(63)。「同意書がないなど、医師の対応が不十分だったのは明らかだ。まず医師は、患者に生きることを積極的に勧めるべきで、そのための選択肢を幅広く提示する必要があった」と言う。「患者が適切な意思決定ができるよう何度も話し合いの場を持ち、説明を尽くしてほしい」。

    ◇

 都の指導を受けた公立福生病院。9日に病院を訪れた70代女性は「この辺りでは大きくて設備が整ったところ。医師を信じたい」。近所の70代男性は「都に指摘されたような問題があれば是正してほしい」と話した。毎日新聞の取材に対し、病院は「代理人の弁護士事務所に連絡してほしい」と回答。弁護士事務所は「コメントを出すかどうかも含めて検討中」としている。【矢澤秀範、大沢瑞季、梅田啓祐】


(毎日新聞)








  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス