社会

基地と暮らす沖縄の苦しみ知って 絵本「やんばるの少年」出版

絵本「やんばるの少年」を手にする作者の田島さん=兵庫県・淡路島の自宅で2019年3月27日、御園生枝里撮影

 15日に本土復帰から47年になる沖縄県で、米軍のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)近くに暮らす子どもたちを鮮やかに描いた絵本「やんばるの少年」を、兵庫・淡路島在住の画家で絵本作家の田島征彦(ゆきひこ)さん(79)が20日出版する。沖縄に40年以上通い、基地問題に翻弄(ほんろう)される県民の姿を見続けてきた田島さんは「多くの人に絵本を見てもらい、沖縄の人たちの苦しみを理解してほしい」と話す。

 作品の受賞歴も多い田島さんが、地元の神事を見ようと沖縄を初めて訪れたのは1978年。以降、絵本作りのため取材を重ねるうちに、豊かな自然に魅了されると同時に基地問題にも胸を痛めるようになった。

 民話を題材とした87年の「とんとんみーときじむなー」に続き、96年に刊行した「てっぽうをもったキジムナー」は時代を太平洋戦争末期に設定。10年かけて元兵士から話を聞いたり、集団自決のあったガマ(自然壕(ごう))を訪れたりして、少女と精霊の不思議な交流をつづった。

 新作はより低い年齢層向けで、ヤンバルクイナやノグチゲラが生息する県北部の「やんばるの森」が舞台。物語の下敷きには、反対運動の中で2016年までに東村高江地区周辺に6カ所整備されたヘリパッドがある。主人公の少年が弟や思いを寄せる少女と生き生きと遊ぶ日常を描きながら、ヘリパッド建設で変わっていく自然や、新型輸送機オスプレイの飛行が住民に与える恐怖を盛り込んだ。

 高江地区の子どもたちに実際に取材し「長いこと思い続けてきたことが解けるように、物語になって絵になった」と振り返る田島さん。「普通の子が遊び、恋をするという普通の絵本に、特別な注釈を付けなくても沖縄の問題が含まれている」と話す。税込み1728円。問い合わせ先は、童心社(03・5976・4181)。【御園生枝里】


(毎日新聞)