社会

「かわいい接客」で改革 「サンリオピューロランド」 小巻亜矢館長に聞く

「サンリオピューロランド」の小巻亜矢館長=東京都多摩市で2019年4月9日午後4時半、五十嵐英美撮影

 東京都多摩市のテーマパーク「サンリオピューロランド」は、2018年度の来場者が過去最高の219万人を記録した。人気回復の立役者は5年前に赴任し現在、館長を務める小巻亜矢さん(59)。大卒で入ったサンリオを、結婚を機に退社。関連会社で再び働ていたところ、サンリオの辻信太郎社長に白羽の矢を立てられた。小巻さんに、その体験と働く意味について聞いた。【五十嵐英美】

――新卒で、就職先にサンリオを選んだのは?

 サンリオがつくり出す世界観に囲まれて仕事がしたかったからです。直営店で1年半ほど働いて、退社しました。男女雇用機会均等法の施行前で、「女性は結婚すれば、仕事を辞めるのが当たり前……」の時代です。専業主婦になり、3人の子に恵まれました。

 再び働き始めたのは37歳の頃。次男が2歳で事故死したことをきっかけに、生きる意味が分からなくなりました。離婚も経験。経済的にも精神的にも自立したいと思ったのです。

 ――どんな仕事に就いたのですか?

 幼い子を抱えた女性に仕事はなかなかありません。声がかかったのが化粧品販売の仕事でした。ノルマ達成のため全国を飛び回り、皮膚や美容についても猛勉強しました。売り上げの成績が良くて表彰もされましたが、ハードワークで体を壊してしまいました。

 サンリオのグループ会社に誘われたのは、そんな時です。大人向けの化粧品を開発するというので誘われ、マーケティングや広報をひと通り経験しました。

 化粧品販売を通じて気づいたのは、肌の悩みは心や生活の悩みだということです。相談に応えられるようコーチングを勉強。社内ベンチャーで女性を支援する会社を設立しました。心理学を本格的に学ぼうと大学院にも挑戦しました。

 ――2014年にサンリオピューロランドに移ったそうですね。

 人気の低迷を聞いて、出掛けてみました。子どもが小さい頃よく行った場所ですから。すると、「こうすればいいのに」と思うところがあちこちにありました。それを感想文にして辻社長に提出したら「もう一度見てきてほしい」と頼まれ、それから2度通ってリポートを書きました。けれど再建を任されるなんて思ってもみませんでした。

 ――改革はどこから始めましたか?

 根本はコミュニケーション不足だと思い、スタッフに話を聞くことから始めました。どんな思いで働いているのか、サンリオピューロランドの魅力はどこか――。みんなここが好きで、アイデアを持っていました。松竹と組んだ歌舞伎をテーマにしたミュージカルショーも、スタッフが温めていたアイデアです。

 ――今後の戦略は?

 もっとかわいいサービス、かわいい接客を追求します。デジタルの時代だからこそ、本物のハローキティとハグできる喜び、感動は貴重だと思います。

 私はキャリアとして館長を目指していたわけではありません。巡ってきたものを、食わず嫌いはもったいないから食べてみたのが今につながったんです。自分にやれることを一生懸命やっていたら次のことが見えてきた。挑戦することが好きなんです。

 ◇略歴

 こまき・あや 東京都出身。1983年、サンリオに入社。50代で東大大学院教育学研究科に入り、2013年に修士課程修了。研究テーマは「対話的自己論」。14年、サンリオピューロランドの顧問に起用され、16年から現職


(毎日新聞)