(28)ゐーまーる/「ゐ」の発音は重要

 「ゆいまーる」という言葉をよく聞くのだが、この意味は何だろうと思い調べてみた。
 意味は「賃金の支払いをともなわない労働交換」のことで、よく調べてみるとこれは、うちなぁぐちではなく、うちなぁ大和(やまとぅ)ぐちだということが分かった。
 「うちなぁ大和ぐち」とは日本語とおきなわ語が交じった言葉のことを指す。
 例えば、日本語の「休息する」をうちなぁぐちでは「ゆくいん」と言うが、二つの語を交ぜて「ゆくる」という語を若い世代は使う。
 ほかには、日本語の「バスで来た」は、うちなぁぐちでは「バスから来(ちゃ)ん」と言うが、その二つを交ぜて「バスから来た」など。
 この「ゆいまーる」だが、「ゆい」の部分は日本語の「結い(田植え等で互いに力を貸し合うこと)」から来ていて、「まーる(順番)」の部分が本来のうちなぁぐちだといえる。
 「ゆいまーる」は本来のうちなぁぐちでは「ゐーまーる」という。
 つまり「ゐー」の部分が日本語の「ゆい」に取って代わられてしまっているのだ。
 この「ゐー」の発音は日本語にはない。それだけではなく、若い人たちは「ゐー」という言葉がうちなぁぐちにあるということすら知らない。
 何を隠そう私も「ゐー」という発音、言葉がうちなぁぐちにあると知ってまだ6~7年にしかならない。
 この「ゐ」は日本語の「い」を濁らせた感じの発音で、このコラムが掲載されている新報のHP上で、音声も聞けるので、そこで確かめてもらいたい。
 この「ゐ」はとても重要な発音で、これがうちなぁぐちにないと大変なことになる。
 例えば、組踊「手水ぬ縁」の「縁(ゐん)」を「いん」と発音してしまうと「犬」になり、恋愛劇が動物の物語になってしまう。
 ほかにも、「入(い)れー(はいれ)」と「座(ゐ)れー(座れ)」の区別も大切だし、「植(いー)てーし(植えたもの)」と「ゐーてーし(貰(もら)ったもの)」など、勘違いしてしまう言葉はたくさんある。この原稿書き終え「良(ゐー)塩梅(あんべー)やっさー(良い塩梅だ)」。
(ラジオ沖縄「民謡の花束『光龍ぬピリンパラン日曜日』」パーソナリティー)