(30)飛立(とぅんた)ち居(ゐー)/「しゃがむ」とは違う

 「御総様(ぐすーよー)(皆様)、『飛立(とぅんた)ち居(ゐー)』んでぃ言(いゅ)る言葉(くとぅば)、聞(ち)ちゃる事(くとぅ)あみしぇーびーがやー?(「とぅんたちーゐー」と言う言葉を聞いたことはありますでしょうか?)」

 戦前生まれのうちなぁんちゅならば、よく知っている言葉だと思うが、戦後生まれの若い人達はこの言葉を知らないようだ。
 さて、この「飛立ち居」とは「飛び立ち座り」のことをいう。
 こう言われても訳が分からないと思うだろうが、「飛立ち居」を日本語に訳すのは、実はかなり難しい。
 結論から述べようと思う。日本語に訳す言葉はないのだが、現代若者日本語には訳すことができる。
 それは「うんこ座り」という言葉だ。
 辞典に「うんこ座り」という言葉はなかったので、インターネットで調べてみた。
 すると、「日本語俗語辞書」というサイトに、「うんこ座りとは和式便所で大便するときのしゃがむ姿勢のことで、不良がたむろして座るときにすることから『ヤンキー座り』ともいう。
 具体的にはうさぎ飛びの姿勢から足をやや開き、かかとはついて手はひざに乗せた姿勢である。尻は浮かせた状態」とある。
 まさに「飛立ち居」と同じ状態を説明している。
 また、「沖縄語辞典」には「飛立ち居」は「しゃがむこと」とある。しかし、「しゃがむこと」と「うんこ座り」は違う。
 ほかに、東京外国語大学名誉教授の「半田一郎」という大和の方が「琉球語辞典」という素晴らしい辞典を著した。
 そこには「飛立ち居」を、「すぐ跳び立てるような姿勢でしゃがむこと。中腰、浮き腰で落着かぬ状態」と説明している。
 大学の先生ならば日本語に精通しているはずだが、「飛立ち居」を一言で説明できないというのは、やはり昔から日本語にはなかったといえるだろう。
 しかし、日本の若者達が生み出した現代日本語「うんこ座り」ならば説明がつく。
 だが、女性は「うんこ座り」より「飛立ち居」が言いやすいかも。
 (ラジオ沖縄「民謡の花束『光龍ぬピリンパラン日曜日』」パーソナリティー)