(32)驚(うどぅる)ちゃん/「びっくりした」を表現

 2008年現在の沖縄で、40代以下の人たちが使う言葉がある。それは「うちなぁ大和(やまとぅ)ぐち」という、日本語でもない、うちなぁぐちでもない言葉だ。
 例えば、日本語の「そうなの?」は、うちなぁぐちでは「あんやるばーい?」と言うが、うちなぁ大和ぐちでは「そうねー?」、もしくは「だーるばー?」と言う。
 うちなぁ大和ぐちには、「でーじ(大変)」とか「ゆくし(うそ)」など、本来のうちなぁぐちの単語も少しは出てくる。その中に、自分を含め若い世代が軽いノリで使う言葉がある。それは「胴(どぅ)まんぐぃたん(うろたえた。慌てた)」という言葉。
 これはれっきとしたうちなぁぐちではあるが、若い世代はとても軽い使い方をしていると、50代の先輩に指摘され気がついた。
 例えば、40代以下の人達(たち)は「あの店パソコンが半額だったばーて、胴まんぐぃたんよ」とか、「昨日、テレビに光龍が出てたぜ! 胴まんぐぃたっさー」などと使う。
 ここで使う「胴まんぐぃたん」は、とてもおかしな使い方らしい。
 それならば、本来の「胴まんぐぃたん」の使い方は?
 90代の首里の「ぅん前(めー)(おばあさん)」に聞いてみた。
 例えば、飛行機が簡単に乗れない時代、「東京の息子危篤」と電報が届いたとする。本来はこういう時に「なー、胴(どぅ)まんぐぃてぃ、居(ゐ)ちん、立っちん居(をぅ)ららん(もう、パニックで、いても立ってもいられない)」と使うらしい。
 この「胴まんぐぃたん」、辞典では「うろたえた。慌てた」と解説されてはいるが、これではうまく若い世代には伝わらないと思い、カタカナ英語ではあるが「パニック」と訳してみた。
 こう訳せば、パソコンが半額とか、友達がテレビに出たぐらいのことで「胴まんぐぃたん(パニック)」とはおかしいと、理解してもらえるだろう。
 それならば「びっくりした」はどう言えばよいのかというと、本来のうちなぁぐちでは「驚(うどぅる)ちゃん」という言葉を使っている。
(ラジオ沖縄「民謡の花束『光龍ぬピリンパラン日曜日』」パーソナリティー)