教育

夢追い生きる意味学ぶ 新大学入試共通テスト来年度から 「なぜ」深い理解大事 教育新時代を拓くMANALAB★


新しい学びと入試改革に対応する力を付けるシリーズ「まなラボ」。今回は興南高校出身で東京大学在学中の豊元慶太朗さん=浦添市出身=に、大学で学ぶ意義について話を聞いた。また、2020年度から導入される大学入試の新共通テストが、これまでとどう変わるのか。予備校・尚学院那覇校講師の川辺寿幸氏は「単に公式を理解するだけでなく、なぜそうなるのか、より深い理解が必要となる」と指摘。受験突破のこつと、その先にある大学生活について紹介する。



豊元慶太朗さん 東京大3年
自習重ね最難関突破

 

 大学受験を突破して大学で学ぶ意義は何か、学んだ先にどのような未来が開けるのか? 興南高校から1年浪人し、ほぼ独学で東京大学に進学。現在教養学部地域文化研究分科3年生の豊元慶太朗さん=浦添市出身=に大学生活の面白さと夢を聞いた。

(聞き手・高江洲洋子)


―沖縄から東大に進学するのは年間数人。別世界と考える生徒が多いと思う。実際、どのような雰囲気の大学か。

「学生は試験前になったら勉強を頑張るが、それ以外はサークルやバイト、恋愛に一生懸命。勉強が得意な人ばかりではないし、東大に入ったからといって知識が倍増したりはしません。面白いのはさまざまな夢に挑戦している友人が数多くいること。本を出したり、海外で論文発表をしたり、夢を語っても笑われない校風がとてもいいと思う。『日本の教育格差を終わらせたい』と言っても笑われない。『ハーバードに行く』とか『学校建てたい』などと話しても、先輩が達成しているので誰も『無理』と言ってきません。夢がある人が、ねたみの対象ではなくリスペクトされる校風がとても好きですね」

―なぜ東大を目指した?

「中学まで続けた剣道に代わり、高校生活で思い出に強く残るような努力をしたいと思い、最難関の東大を目指した。母校や沖縄からの合格者は当時少なかったため、自分が頑張ることで県内の多くの後輩たちを励ますことができると考えた。将来沖縄を支える人間になりたいという夢があり、東大で学ぶ経験がそこにつながると考え、つらいことも乗り越えようと前向きに挑戦し続けた。(高校時代は)予備校に通う費用がなかったため学校の自習室で学習を続けた」

―大学に行く意義とは。

「『優秀な人に出会えること』と『夢を追えること』」ではないか。大学では必ず優秀な学生や先生と出会える。そのような人たちと関わることで、学ぶ楽しさ、将来への希望、生きる意味を考えるようになると思う。忙しく働く中では見えてこない、時間があるが故に見詰められるものが大学にはある。夢に挑戦する機会も得られる。例えば留学、学びの先にある研究への挑戦、社会的に意義のある活動などに挑戦できる。いくら優秀でも環境がないと夢はかなわない。それを与えてくれる、誰でも飛び込める環境が大学だと思いますね。私は将来、東アジア諸国と日本の教育制度を比較する研究をしたい」

―沖縄の後輩にどのような言葉を掛けたいか。

「『東大生』と聞くと『特別な人だ』と思うかもしれません。しかし、僕だって大学に受かるまでは普通のウチナーンチュだった。『自分には無理だ』と思うことで努力をやめていませんか? まずはスマホを使って『どうすれば達成できるのか』を調べてほしい。条件を確認したら、一つずつクリアするために計画を立て、努力するだけだ。時間はかかっても必ず道が見えてくるだろう。一番怖いのは社会のあらゆる格差ではなく、夢を持たないこと。笑われてもいいから、まずは人生で一番大きな目標を立ててほしい。応援しています」



とよもと・けいたろう 1997年生まれ。浦添市出身。興南高校卒業後に東京大学に進学した。今夏から交換留学で北京大学に移り、中国語のほか日中関係や外交政策、教育格差などを学ぶ予定。

 




川辺寿幸氏 那覇尚学院担当理事・大学受験科部門長
入試改革 付け焼き刃で点数取れず

 

 


 現在の大学入試センター試験に替わって、2020年度から新たな大学入学共通テストが導入される。思考力・判断力・表現力を用い、解くことが求められるとされる共通テストについて、予備校・那覇尚学院担当理事大学受験科部門長の川辺寿幸氏は「付け焼き刃の勉強だけでは点数は取れない。どのように答えを導き出したか考えることを習慣付けることが大事だ」と話している。

 新しい共通テストの対象となるのは、現在の高校2年生。独立行政法人大学入試センターは、共通テストの出題方針を示している。それによるとマークシートで選択問題だったセンター試験とは異なり、国語と数学で一部記述式問題が導入される。英語は発音、アクセントなどの問題は無くなり、読むこと(リーディング)と聞くこと(リスニング)が重視される。

 川辺氏は「数学でも長い文章の問題が出てくる。文章を速く読み、きちんと理解する読解力が必要。国語も120文字以内にまとめるという記述式問題が想定される」と話す。

 これまでセンター試験の点数を重視していた大学は、受験生が新共通テストの影響を受ける可能性があるが、2次試験に比重を置いていた大学は、影響は少ないとみる。「一部の大学ではセンター試験で一定の点数が取れれば、2次試験の正答率が4割程度で合格する場合がある。そのような大学の場合、新テストで一定の点数が求められるので、対策をしっかりしなければいけない」と指摘する。

 また、学校の定期テストでは、公式を覚えて乗り切れても、共通テストでは公式を覚えるだけでは解けないとし「どうしてこのような公式になるのか、どのように答えを導き出したか、深い理解に結び付けて学ぶ必要がある」とアドバイスした。

 新テストに向けた特別な勉強法があるわけではないとし「きちんとした理解を深めながら、一歩踏み込んで考えることが大事になるだろう」と語った。