沖縄県指定無形文化財沖縄伝統音楽野村流の指定50周年記念公演「野村流の響き」が16日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。保持者と第1次から6次までの伝承者総勢300人が出演し、趣ある音色を響かせた。
幕開けは、保持者と第1~3次伝承者による「かぎやで風節」が彩った。翁(おきな)を島袋流千尋会の島袋光尋家元、媼(おうな)を玉城流翔節会の玉城節子家元が担った。ごえん節、こてい節と重厚で味わいのある歌声で聞かせた。
保持者による本調子の独唱は、金城幸浩が「赤田風節」で安定感のある中低音が心地よく響かせた。金城タケ子が「仲間節」、宮城竹茂が「仲村渠節」、上間克美が「本花風節」を歌った。
野村流松村統絃会のみに伝わる「秘伝仲風」は、4団体(同会、野村流保存会、野村流音楽協会、野村流伝統音楽協会)がそろって斉唱した。「秘伝仲風」は「ハヤリ手仲風」とも言われ、「本調子仲風節」が失われることを懸念した知念積高が野村安趙以外に弾くことを禁じたとされる曲。4団体での斉唱は継承への意気込みが伝わった。
第2部の中幕斉唱は、6次伝承者による「本田名節・眞福地之はいちゃう節・揚高袮久節」を披露した。伸びやかな高音に優美さが漂う歌声で、野村流の層の厚さを感じさせた。
保持者による二揚げの独唱では渡久地正博が「散山節」を歌った。90歳とは思えない伸びやかで厚みのある高音と丁寧な節回しに熟練の技を感じた。ほか、「仲風節」を銘苅盛隆、「述懐節」を山城暁が歌った。
舞踊では「作田」や「天川」「高平良万歳」など華やかな演目が並んだ。
公演に先立ち記念式典が開かれ、人間国宝の城間徳太郎と中村一雄に表彰状が贈呈された。歴代の会長、副会長らの功労者表彰もあった。
県指定無形文化財沖縄伝統音楽野村流保存会の会員は、保持者と伝承者含めて約550人。玉城利和会長によると、若手への継承の意味も込め、伝承者を増やしていると言う。「協力し合って公演ができてよかった」と述べた。
(田吹遥子)