有料

AI予算 1640億円要求 24年度 開発強化へ44%増


AI予算 1640億円要求 24年度 開発強化へ44%増 AI関連予算の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府の2024年度予算で、各省庁による人工知能(AI)関連の概算要求額が計1640億円に上ったことが18日分かった。23年度当初予算比で44%増となる。19年度に1千億円を突破して以降、一進一退で推移してきたAI予算を一気に増額し、開発強化や利用促進につなげたい考えだ。
 岸田文雄首相は13日の内閣改造後の記者会見で「AIなど将来の成長基盤の整備を進める」と表明した。10月中の取りまとめを目指す経済対策にも普及促進策が盛り込まれる可能性がある。
 対話型AI「チャットGPT」の登場をきっかけに、文章や画像などを自動で作る生成AIを中心とした開発競争が世界的に加速している。
 政府は「AIに関する暫定的な論点整理」を5月に公表。AI開発の基礎分野の整備・拡充を政府が支援する一方、生成AI自体の開発はスピード感を持って進められる民間企業に委ねるのが望ましいとの見解を示した。24年度の概算要求もこうした考え方を踏まえた。
 政府の集計によると、AI関連予算のうち開発力の強化に568億円を要求。生成AIに対応した次世代半導体の研究開発を行う大学に補助金を出すほか、AI分野の若手研究者や博士課程の大学院生に人件費や研究費を拠出する。生成AIの基盤技術である「大規模言語モデル」を民間企業が開発するのに不可欠なデータを整備する事業も手がける。
 AIの利用促進には601億円を求めた。創薬や学校の教材作成など幅広い分野でAIを活用する方法を探る。農産物の栽培や収穫にAIを用いるスマート農業も推進する。人文・社会科学分野の大学院でAIの知識や技術を有する人材を育成するプログラムを構築する場合に資金面で支援する施策も用意した。