トラック運転手の残業規制強化に伴う人手不足など「物流の2024年問題」の緩和に向け、旭化成が特殊な輸送用ボックスを開発した。青果物など冷蔵品を常温のトラックに混載でき、輸送効率がアップする。また日用品メーカーの間で、卸売業者への納品で伝票照合が不要になり、トラックの待ち時間が短くなるシステムの活用が広がっている。
旭化成が開発した「フレッシュロジ」は、食品包装材「サランラップ」から着想を得た。断熱性と気密性が高く、他の荷物と一緒に通常のトラックに積み込んでも野菜などの鮮度を保つことができる。冷蔵用のトラックが不要で、常温のトラックは積載率が上がるため、人手の節約につながり、温室効果ガスも削減できる。
内部の温度が変わりやすい貨物コンテナに入れて北海道から大阪府までジャガイモを輸送した際、フレッシュロジを使うと他の梱包(こんぽう)材に比べ発芽を抑えられる効果も確認した。現在は物流会社と連携し、九州の青果物を関東へ運ぶ取り組みを進めている。今後は医療品などにも用途を広げたい考えだ。
日用品では、ライオンやユニ・チャーム、小林製薬といったメーカーが納品伝票の電子データ化で協力。プラネット(東京)が開発した受発注システムを採用し、出荷前の段階で卸売業者に送信する取り組みを始めた。
これにより、それまで商品を受け取ってから紙の伝票と照合していた卸売業者の手間が省けるようになった。配送トラックは照合作業が終わるまで現地で待つ必要があり、長時間の拘束につながっていた。実証実験では、トラックが入庫してから退出するまでの時間を40%短くできたという。
旭化成の「フレッシュロジ」を使ったジャガイモの輸送=2021年3月、北海道帯広市(旭化成提供)
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進む 運転手負担減 冷蔵品混載、伝票データ化 迫る「24年問題」緩和へ

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琉球新報朝刊
