県が発表した県内基準地価(2024年7月1日時点)の平均変動率は住宅地がプラス5・8%、商業地が6・1%で、上昇幅も前年より拡大した。本島北部や宮古島などではホテルや大規模テーマパーク施設などの大型案件なども予定されており、今後も上昇局面は続く見通し。一方で、7月末にあった日銀の追加利上げを受け、低金利だった住宅ローンの変動金利が上昇に向かう見込みで、これまで底堅く推移してきた住宅需要に一定の影響を与えそうだ。
上昇率が最も高かったのは市町村別で住宅地、商業地共に宮古島市。住宅地はプラス17・9%で前年比0・2ポイント増。商業地は15・2%で同2・6ポイント増えた。
住宅地で上昇率が県内1位は恩納村真栄田真栄田原36番外の29・0%。全国でもトップだった。観光スポットに近い既存集落に位置し、県外からの移住層の引き合いが強く、地価上昇の要因となった。
顕著な観光需要
住宅地の県内2~5位は宮古島市の地点が占めた。2位の宮古島市伊良部池間添下桃山219番は26・1%で全国でも2位。県内3位の宮古島市平良西里アラバ1537番3の23・4%は全国4位にランクインした。宮古島市は観光需要の強さが顕著で、ホテル建設などが加速している。建設作業員や従業員向けの賃貸需要も高く、郊外を含む市内全域で土地取引が活発化している。
商業地は観光客の増加とともに観光産業の収益力が回復したことが上昇要因となった。今年は国内からの入域観光客数がコロナ前を上回る見通しで、海外便の復便なども予定されている。那覇市や観光地を中心に出店需要が根強く、県外からの出店や投資も活発化していくことが予想される。
県民のマインド
県地価調査分科会代表幹事で国土鑑定センター社長の仲本徹不動産鑑定士は各調査機関が示す県内景況が「拡大基調にある」と判断していることなどを念頭に「伸びしろがある観光需要など、県経済の先行きの強さが続く限り、地価の上昇は続くだろう」と見通す。
建築資材価格や人件費の高騰で、住宅価格が高止まりしていることにも触れ、「これまでの低金利が県民の住宅需要を底支えしてきた。住宅ローン金利が上昇していく中、県民のマインドがどう変化するか、影響を注視したい」との考えを示した。住宅の購入価格が上がる中での住宅ローン金利引き上げは、地価上昇の伸び率を鈍化させることになるのか注目される。
(当間詩朗)