AI技術の進化で、人間では見破ることが難しい偽物の動画「ディープフェイク」が問題になっています。ディープフェイクは、特定の人の評判を落とすために、生成AIで本物そっくりに作ります。最近、イーロン・マスク氏がハリス副大統領のディープフェイク動画【※1】をSNSに投稿し、大きな問題となりました。
本来、ディープフェイクなどの偽情報は、SNS企業が取り締まらなければなりません。しかし、X(旧Twitter)の経営者であるマスク氏自身が積極的に偽情報を拡散し、ユーザーを混乱させているのです。彼の影響力は非常に大きく、その行動はSNSの運営方針に直接影響を与えます。特に選挙や社会的な大事件の時には、社会全体に混乱を招く恐れがあります。プラットフォームのトップがフェイクニュースを拡散することは、ユーザーに対する責任を果たしていないと言えます。Xの情報は「トップがこうした態度で運営するSNS」であることを意識し、情報の信頼度を割り引いて考える必要があります。
フェイクニュースを見破るには、幅広い知識と目立つ情報に飛びつかない忍耐力が必要です。スマホやインターネットを利用する時、常に批判的に情報を見る習慣が大切です。新しい情報に急いでコメントをすると、「いいね」などの反応が増えることがあります。リアクション欲しさに、よく確認をせずに飛びつくことをどれだけ我慢できるかが鍵となるでしょう。
~ 言葉の解説 ~
※1 ハリス副大統領のディープフェイク動画 … 今年の秋にアメリカで大統領選挙があります。大きな選挙では、SNS上でフェイク情報が多く拡散されてきました。今回の動画では、大統領候補のハリス氏が実際には発信していないことを言ったかのように見せるもので、もともとは「パロディーです」と投稿されたものでした。しかし、マスク氏はその説明を消して、より判断が難しい状況で動画を投稿したのです。残念ですが、今後もこのようなフェイク情報は出てくると予想されます。
モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。