管理職になっても、学級担任の時と変わらず一人ひとりの子どもに寄り添いたい―。浦添市立仲西小学校の金城一石校長(54)は、児童に楽しい学校生活を送ってもらうため、あいさつのために訪れた児童にオリジナルシールを配布するなど、校長室に来る敷居を下げる取り組みをしている。
7月18日の昼休み、仲西小の校長室前には大勢の児童が行列を作っていた。児童が元気よくあいさつすると「いつもあいさつ上手ですね」「笑顔がいいですね」と、金城校長は児童の名前を呼びながらオリジナルシールを手渡した。
シールは人気ゲームのキャラクター「マリオ」と「ルイージ」に扮(ふん)した金城校長と又吉光晴教頭のイラストを印刷したもの。入学式で、新1年生に飽きずに話を聞いてもらおうと、サプライズで登場した時の姿だ。シールは同校PTAの舟橋蔵人会長が作成した。
金城校長は昨年4月に同校に赴任して以降、児童とのコミュニケーションに工夫を凝らしてきた。
校長室に児童向けの絵本を置き、夏には入り口でカブトムシを育てた。赴任後、児童に配ったPTA作成のトレーディングカードは金城校長の写真入りで、教頭のカードよりも強いというユニークなもの。カブトムシやカード目当てに、不登校になっていた児童の登校頻度が増えた事例もあった。
「子どもが楽しい学校になるには僕自身が楽しまないと。前任校ではクリスマスにサンタクロース、節分に鬼、ハロウィーンにホラー風の格好をした」と笑顔を見せる。これらの衣装は、いつでも着られるように校長室のロッカーに忍ばせている。
赴任2年目の今年は、完全に登校復帰できた児童もいた。校長室で児童が好きな戦隊ヒーローのフィギュアなど遊びの会話をすることから始めて一緒に過ごし、徐々に自分の教室への登校へとつなげた。「一つのものがツールになって会話ができた。何が子どものきっかけになるかは分からないと感じた」と振り返る。
仲西小には合言葉がある。「笑顔の登校 満足の下校 みんなの笑顔が仲西の太陽」。金城校長は赴任後、この言葉に出会い「まさに自分が目指す学校像だと思った」と話す。「これからも子どもに寄り添い、私自身も楽しく学校生活を送りたい」と、思いを胸に子どもたちと向き合う。 (高橋夏帆)