性的少数者の差別禁止 浦添市条例案 来年秋施行目指す 今月末まで意見公募


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
浦添市役所に設置されたパブリックコメントのコーナー

 【浦添】浦添市が来年秋ごろの施行を目指し、「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」の策定を進めている。市はこのほど条例案を公表し、今月末までパブリックコメント(意見公募)を実施している。条例案では、LGBTなど性的少数者のカップルを結婚相当の関係と認めるパートナーシップ制度導入のほか、「性的少数者」を理由とする差別などを禁じている。性の多様性に特化した条例は全国2例目。

 浦添市は2017年1月に「レインボー都市」を宣言し、LGBT電話相談や性別に関係なく利用できるトイレの設置などを進めてきた。今年2月、琉球大学法科大学院が市に条例素案を手交。市男女共同参画審議会の答申を踏まえ、庁内で条例案を検討してきた。

 案は全13条で構成し、基本理念や市の責務、市民・事業者の役割、教育の役割―などを規定。市の責務として「性別による差別の禁止」「多様性に配慮した職場環境の整備」を課し、性の多様性への理解を深めることを市民や事業者に求めた。また、性的少数者であることを本人の意に反して公にしたり(アウティング)、カミングアウトを強要・禁止したりすることを禁じている。

 素案作成に携わった同大学院の矢野恵美教授は「条例は努力義務が生じ、宣言とはレベルが違う」と条例化の意義を強調。条例案について「誰かの人権を制限し、特別扱いを押しつけるような内容ではない。少数者も多数者も同様に尊重され、自身のセクシュアリティー(性の在り方)を恥ずかしく思う必要は無い、というメッセージになる」と期待している。

 市によると条例制定は県内初で、全国でも今年4月に施行した岡山県総社市に次いで2例目。パブリックコメントを踏まえ、来年3月の市議会での条例案提出を予定している。条例案やパブリックコメントの用紙は市役所と市ハーモニーセンターで配布。市ホームページでも入手できる。
 (真崎裕史)