琉球王朝時代の音色響く 三線の名器「盛嶋開鐘」復元 人間国宝・照喜名朝一さん演奏


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復元された三線「盛嶋開鐘」で演奏する人間国宝の照喜名朝一さん=30日、那覇市の県立博物館・美術館(大城直也撮影)

 沖縄県立博物館・美術館はこのほど、琉球王国時代の約160年前に作られた三線の名器「盛嶋開鐘(もりしまけーじょー)」を復元した。当時の音に近づけるために蛇皮の張り方や弦、糸掛けなど細部にこだわり、2017~18年度の2年間をかけて復元。同館で30日、琉球古典音楽の人間国宝・照喜名朝一さんが復元品を演奏して琉球王国時代の音を再現し、音や映像を収録した。

 復元品は、当時の三線に合わせて皮の張り具合を今よりも緩めに製作した。現在はナイロンを使う弦に絹を使うなど材料にもこだわり、当時に近づける工夫を凝らした。今の三線に比べ、復元した盛嶋開鐘の音色は低めに響き、余韻がある音が特徴だという。

 琉球古典音楽の「渡りぞう」「瀧落とし」「本散山節」を演奏した照喜名さんは「盛嶋開鐘は(琉球の)王様の前で弾いていた三線だ」と緊張した表情。再現した音が後世に残ることには「うれしい。沖縄の音階に合わせた三線を愛好してほしい」と話した。

 同館は琉球王国時代の文化財の模造復元品を展示する特別展「手わざ―琉球王国の文化」を来年2月4日から3月15日まで開催し、盛嶋開鐘の復元品や収録した音源も紹介する。