首里城を訪れる予定だった修学旅行 新たな行き先は…識名園、玉陵、斎場御嶽、国際通り 受け入れに限界、混雑懸念も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
修学旅行生など大勢の人でにぎわう国際通り=6日、那覇市

 首里城火災の発生で正殿など主要施設の見学ができなくなったことから、沖縄を訪れる観光客は訪問先を別の観光施設に変更している。那覇市内や南部の観光施設では、火災の発生直後から来場者が大きく伸びた。旅行社は国際通りでの滞在時間を延ばすなど、首里城見学に代わる県内観光を提供する。6日時点で大きなトラブルは見られないが、観光施設の関係者からは混雑を懸念する声も上がる。

 那覇市役所文化財課によると、世界遺産の識名園では首里城火災の後に観光客が増加。10月の平均入場者数は1日当たり167人だが、火災が発生した10月31日は462人に急増した。11月1日は988人、2日は639人、3日は891人と大幅に伸びた。大型バスも4台停車でき、団体客も多く訪れるという。首里城公園に近接する玉陵では、10月の1日平均の入場者は197人だったが、11月1日は230人、2日は370人、3日は643人と日を追うごとに多くなった。

 那覇市の担当者は「首里城を見られなくなり、他の施設を訪れる人がいる。問い合わせも増えている」と話す。識名園は、400~500人程度が同時受け入れ可能な人数の上限という。玉陵は王家の墓所で、静かな環境で見たいという人が多いことから「あまり混雑すると問題が生じるかもしれない」と懸念する。

 JTB沖縄では、修学旅行の旅程を首里城から識名園などに変更し、クルーズ客の寄港地ツアーでは国際通りでの滞在時間を延ばすなどの対応を取っている。担当者は「今後は駐車場の混雑が課題になるはずだ」と予測する。

 首里城関連の展示物がある県立博物館・美術館(那覇市)では、修学旅行の見学予約の申し込みが増えている。10月31日~11月5日までに66件の問い合わせや申し込みがあった。団体客の入館時間が重複しないよう調整して受け入れている。担当者は「いつも1日の問い合わせは数件程度なのに(火災の直後から)激増した」と驚いた様子を見せた。

 南城市の斎場御嶽の来場者数は2割増えた。担当者は「修学旅行の問い合わせが多く、1回で何人まで入れるか尋ねる電話が多い」と話す。道幅が狭いことや受け入れ許容量の限度があるため、時間をずらして入場してもらうよう対応しているという。