「ながら運転」厳罰化 改正法施行 反則金上げ、懲役刑も


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12月1日より罰則が強化される「ながら運転」※イメージ

 スマートフォンなどを使用しながら車を走行させる「ながら運転」について、違反点数と反則金を引き上げ、懲役刑も重くするなど厳罰化した改正道交法が1日、施行された。ドライバーがスマホを操作しながら運転した車による死亡事故が相次ぎ、遺族らが罰則強化を求めていた。

県内人身事故、10年で6倍

 県警によると、県内の道交法違反(携帯電話使用等)での摘発は10年前の2009年が1万4776件、ピークは16年の2万1078件で18年は1万7825件に減少した。その半面、携帯電話使用等(画像注視・保持)による人身事故の発生は09年が4件で、その後は増加傾向にあり、18年に23件の人身事故が発生するなど10年間で約6倍に増加している。23件の人身事故のうち、19件が車の走行中に携帯画面をのぞき込む画像注視だった。

 改正法では、運転中の携帯電話での通話や、画面を注視する違反「携帯電話使用等(保持)」の点数をこれまでの1点から3点に、通話や注視により交通の危険を生じさせる違反「携帯電話使用等(交通の危険)」を2点から免許停止となる6点にした。

 「保持」の反則金は「大型車」は7千円から2万5千円に、「普通車」は6千円から1万8千円、「二輪車」は6千円から1万5千円、「原付車」は5千円から1万2千円に変更。新たに懲役刑を加え、違反を繰り返すと「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」の罰則が適用される可能性がある。

 「交通の危険」は反則金の納付で刑事責任を免れる交通反則通告制度の適用から除外。直ちに刑事手続きの対象となり、罰則を「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」から引き上げ「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」とした。

【用語】ながら運転 携帯電話の急速な普及を背景に、1999年の改正道交法に初めて罰則規定が盛り込まれた。当初は通話中などに交通の危険を生じさせた場合だけが処罰対象だったが、2004年の法改正で通話自体などにも拡大した。だが、愛知県で16年、スマートフォン向けゲームをしながら運転していた男のトラックに男児がはねられて死亡、18年には、新潟県で漫画をスマホで読みながらワゴン車を運転していた男が死亡事故を起こし、対策強化が検討されてきた。ながら運転による交通事故は増加傾向が続いており、18年中は2790件。死亡事故は42件で、10年前の約2・3倍に上る。