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米海軍の請負業者、日本の港で廃水を不法投棄か

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By Gordon Lubold and Alastair Gale
2019 年 12 月 2 日 09:27 JST 更新プレビュー



佐世保港で米第七艦隊の艦船横に停泊する関東砿産の排水処理バージ船(9月) PHOTO: ALASTAIR GALE/THE WALL STREET JOURNAL


 【佐世保】米艦船の廃水を日本の港で不法排出していた疑いで、日本の請負業者が米連邦当局の調査を受けている。これは、米海軍が請負業者の監督に苦慮していることを示す一例だ。

 米海軍当局者らによれば、司法省と連邦捜査局(FBI)、そして海軍は、関東砿産が2008年から日本の3つの港で契約に反して廃水を不法投棄し、その事実を隠蔽している疑いについて調査している。また、海軍の関係者が告発を無視している可能性についても調査しているという。こうした捜査は、これまで公になっていなかった。

 関東砿産の元従業員3人はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、同社が少なくとも過去10年にわたり、廃水を契約通りに処理せず、記録などを改ざんしていたと語った。これは日米の法律に触れる犯罪行為となる可能性がある。海軍のある職員は、不正の疑いについて過去数年間に10回ほど上官に注意を促したとWSJに語った。

 関東砿産は、不正行為を否定。米海軍との契約を危うくするような行為は決してしないとしている。

 米政府のデータによると、海軍と同社の契約額は、捜査対象となっている2008年以降で1億ドル(約109億5000万円)を超える。海軍は現在も同社と取引を継続しており、直近では今秋に一部契約を更新している。

 米海軍は、さまざまな階級を巻き込む大規模不正事件となった「ファット・レオナルド」事件の後、請負契約をめぐる不正の一掃に向け広範な対策を講じてきた。請負業者のレナオナルド・グレン・フランシスのニックネームが事件名になった同事件では、業者が水増し請求で数百万ドルの不正利益を得ていた。この事件に関係して多くの海軍将校が職を失い、軍の士気も損なわれた。

 米海軍のクレイトン・ドス報道官は、海軍犯罪捜査局(NCIS)が司法省やFBI、日本の当局と協力して関東砿産の捜査を行っていると述べた。NCISは2018年3月に捜査を開始し、その後、他の当局が加わったという。同報道官はそれ以上の詳細の公表を差し控えた。

 司法省とFBIにコメントを要請したが、回答はなかった。海洋汚染を監視する任務を負う日本の海上保安庁はコメントを差し控えた。

 捜査で不正が明らかになれば、日米両国が同盟関係を中国の膨張に対する防波堤として捉えつつあるなか、両国間の緊張が高まる公算が大きい。

 米軍は、第2次世界大戦後に日本が軍事占領下に置かれたとき以降、日本で大きなプレゼンスを維持している。基地所在地域との関係、航空機の騒音や米兵による犯罪は、時に反感を生じさせたり、市民による抗議のきっかけになったりしてきた。米国は地域社会への影響を軽減するため、沖縄の住宅地に囲まれている基地をより住宅の少ない場所に移設しようとしている。

 関東砿産は、第7艦隊が拠点とする横須賀のほか、佐世保や沖縄で米軍の艦船にサービスを提供している。

 関東砿産の元従業員によると、同社のはしけ(バージ)は、サービスを受ける艦船の横に停泊し、汚水や油、船内に溜まったその他の液体などの廃水をホースでくみ上げる。くみ上げられた水は、一連のフィルターでろ過してから海に戻される。

 海軍の職員によると、空母ロナルド・レーガンに乗船する水兵は昨年12月、横須賀で関東砿産のバージが廃水をくみ上げている際、緑色の油膜が漏れ出ていることに気付いた。職員はこの懸念について報告した。この職員によると、漏れ出ていた液体は凍結防止剤だった。海軍はこの件に関するコメントを差し控えた。

 関東砿産の責任者は、空母ロナルド・レーガンでの作業に従事する際、何らかの物質が港湾に流出したことを否定するとともに、同社は引き続き同空母での作業を行っていると語った。

 同社によると、米海軍での廃水処理は同社の廃水処理事業の60%以上を占めており、残りは日本の自衛隊および民間の船舶での事業となっている。同社はまた、廃水から再処理した油分を販売している。

 米海軍報道官によれば、同社は現在、海軍兵站(へいたん)センターを通じて海軍との間で8件の有効な契約(総額約780万ドル)があり、一部契約は今秋に更新された。

 日本における米軍の戦艦向け廃水処理およびその他作業に関する契約は、艦隊兵站センターを含む海軍内の幾つかの部署が認可している。ある海軍当局者によれば、海軍の契約担当者らは必ずしも調査を把握していない可能性があり、契約更新に関する決定の要因となっていなかったとみられる。

 関東砿産の元従業員の1人がWSJ紙に語ったところによれば、廃水処理用バージのスタッフは米軍管轄域内で周辺に人がほとんどいない時、処理した廃水の一部をホースから海に廃棄することがあったという。

 同社が艦船から取り出して浄化したとする水は毎月、分析のため研究所に送られ、その結果が海軍に伝えられる。元従業員によると、確実に良い結果が出るよう、処理後の廃水の代わりに水道水を送付することもあったという。

 「もちろん、飲むことができる」とその元従業員は語った。

 一方、関東砿産の責任者はこの告発を否定。「そんなことをしたらとっくに基地から締め出されている」と語った。




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