首里城再建 作業場所も課題に 政府、南殿跡など使用案


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 【東京】首里城の再建を巡り、政府内で資材や重機の搬入などに使われる作業ヤードの確保が課題として浮上していることが分かった。前回の復元過程でヤードに使った正殿東側の「御内原エリア」は今年2月に復元を完了し、公開された。今回の火災で同エリアは焼失を免れており、別の場所の確保が必要になっている。関係者内では全焼した南殿や北殿跡を一時的に使う案が浮上している。

 前回復元時には1992年に公開された正殿、北殿、南殿、広福門、奉神門を皮切りに、京の内(2003年)、書院、鎖之間(07年)と段階的に整備が進められた。その間、御内原エリアがヤードとして使われた。

 復元事業が終盤となった今年2月には、残っていた御内原エリアと東のアザナエリアの復元を終え、全面開園した。

 那覇市消防局によると、御内原エリアは女官居室の一部壁に延焼が見られたが、全焼は免れた。再建過程も観光客を受け入れる観点から、残存施設の活用が見込まれる中、御内原エリアをヤードに使うのは難しいとみられている。

 代わってヤードの候補に挙がるのが、南殿や北殿エリアだ。全焼したために立て替えが想定され、がれきを撤去した後にヤードとして使う案が出ている。

 御内原エリアをヤードとして使った際も城壁の一部を暫定的に撤去してトラックなどが出入りする通路として使った。今回も、城壁を一時的に撤去して通路に使う可能性がある。

 首里城の再建を巡っては、使用する木材の調達や職人の確保なども課題に挙げられており、政府は早ければ年内にも立ち上げる有識者会議で議論してもらう方向だ。

(知念征尚)