PFOS全国調査へ 環境省 河川、地下水で目標値


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
PFOSなどの有機フッ素化合物に関する検討会に臨む委員ら=27日午前、東京都内

 【東京】県内でPFOS、PFOAなどの有機フッ素化合物が高濃度で検出されている問題に関連し、環境省は河川や地下水などの水環境に関する目標値を設定する方針を固めた。27日に東京都内で開いた有識者検討会で方向を確認した。来年以降、検討会を重ねて具体的な目標値案を詰める。環境省はまた、PFOS、PFOAについて年度内にも初の全国調査を行うことを明らかにした。

 環境省は2014年3月、PFOSとPFOAを環境リスクに関する知見の集積が必要な「要調査項目」に位置付け、調査や情報収集を進めてきた。

 その後、諸外国で目標値の設定に関する動きがあることや、動物では胎児に影響を及ぼすとの研究データが報告されていることを踏まえ、目標値を定める必要があると判断した。

 同日の検討会でも委員からは「何らかの目標値を設定してしっかり監視していくことが必要だ」などの意見が相次いだ。ただ、毒性に関する評価が確定していないことから「暫定的な値」にしてはどうかとの意見も上がった。今後具体的な位置付けを詰める。

 PFOS、PFOAを巡っては、厚生労働省が水道水の水質に関する暫定目標値の設定に向けた検討を進めている。関係者によると環境下の水でも、地下水が飲用に使われることも想定されることから、水道水の目標値に近い数値を設定する可能性もある。そのため、厚労省側の検討会の議論も踏まえながら、環境省側でも議論を進めていく。

 一方、環境省が実施を表明したPFOS、PFOAに関する全国調査では、これまで調査した河川や湖沼、海などの公共用水域のほか、地下水も対象に加える。

 来年1~3月をめどに、最大200カ所で実施する方向だ。20年度前半にも結果を取りまとめる予定だ。