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子供欲しい人をマッチング、恋愛・結婚は省略

テクノロジー



共同養育サイトという新種のオンラインサービス

By Julie Jargon
2020 年 1 月 15 日 15:07 JST 更新プレビュー



助産婦のジーン・ヘブルさんと話すジェニカ・アンダーセンさん(左)とスティーブン・デュバルさん(中央) PHOTO: LIDO VIZZUTTI FOR THE WALL STREET JOURNAL


――筆者のジュリー・ジャーゴンはファミリー&テクノロジー担当コラムニスト

***

 ジェニカ・アンダーセンさんは37歳の時、2人目の子どもを強く望んだ。シングルマザーの彼女は選択肢を検討した。理想の男性に出会うまで待つか、それとも精子提供者を選び、1人で産むのか。

 最初の選択肢は望みがなさそうだった。だが精子提供を受けるのも気が進まなかった。いま4歳の息子と同じように、次に生まれる子どもにも父親役の男性がいてほしいと思った。少し調べてみると、もう1つの選択肢が見つかった。ポレンツリー・ドット・コムやモダミリーといった定額会員制ウェブサイトで、ロマンチックな期待を抱くことなく、子どもを産み、その養育権を共有したい者同士をマッチングしているのだ。離婚後の夫婦に似ているが、結婚やさまざまな協議を行う必要がない。

 昨今これだけひとり親家庭が増え、デートアプリが盛況なことを考えると、この種のデジタルサービスは自然な流れとみるべきかもしれない。一方で、衝撃的な現象だと考える向きがあり、中には結婚制度に対する侮辱だと言う人もいる。

 「家族の作り方としては議論の余地がある。尻込みする人もいる。だが男女が恋に落ちる理想的バージョンを思い描くのは短絡的だ」。現在38歳のアンダーセンさんはこう話す。彼女は妊娠している。


「デートアプリは半年かかる」
 

 ハイテクを利用してプラトニックな養育パートナーを見つけるのは、昔ながらの出会いがかつてないほど困難に思えることが背景にある。キャリア構築に以前よりも多くの時間が費やされる中、職場以外で人間関係を育むのは難しくなりがちだが、オフィス内の恋愛も御法度となりつつある。また、生活費が上昇する中、結婚や子育てはある程度の年齢に達するまで考えにくい。全ての要因が米国の出生率低下という結果を招いている。

 「マッチ・ドット・コムやティンダーのようなデートアプリで出会うと、その関係が将来発展するかどうかを知るのに半年かかる。若いうちはそれでよいが、30代半ばでは、相手が子どもを持つ気がないとわかるまで何カ月も待てない」。モダミリーの創業者、イバン・ファトビック氏はこう話す。

 また、この現代的問題をハイテクで解決する需要を押し上げているのはアンダーセンさんのような独身女性だけではない。

 「目覚まし時計が鳴っているのは男性も同様だ。子どもが欲しい異性愛者の若い専門職の男性の多さを知ったら驚くだろう」。共同養育サイトの最大手、英ポレンツリーの共同創業者パトリック・ハリソン氏はこう話す。(同社は希望者を卵子や精子の提供者に紹介するサービスも行っている)

 同氏によると、共同養育の希望者は約60%が女性だという。女性の共同養育者を探す男性顧客は、独身の同性愛者と異性愛者にほぼ二分される。さらに、同性カップルが子どもの人生に母親役または父親役を求める場合もある。

 誰かと出会い、相性がよいかを見極め、養育権を共有する物理的・法的問題を解決するプロセスは、数年とは言わないまでも数カ月かかる場合がある。これはビジネスとして悪くない。ポレンツリーとモダミリーはともに米国の利用者から月額30ドル(約3300円)を徴収している。

 いずれも利用者の犯罪履歴はチェックしていない。ただ、モダミリーは出会った相手について調べたい顧客のために、身元調査サービス会社と提携している。ポレンツリーは利用者が自己申告通りの人物かどうか知るための本人確認を行っているという。

 モダミリーのファトビック氏によると、月額契約者の活動期間は平均約5カ月だが、最近始めた119ドルの年間契約オプションも好評だという。また、投資家が魅力を感じる理由は、デートアプリと不妊治療の2つの業界をつなぐサービスだからだと同氏は説明する。(ポレンツリーは外部の出資を受けていない)

 妊娠の方法はさまざまだ。養育パートナー同士の関係や金銭的余裕により、自然妊娠や体外受精、人工授精などがある。

 成功率を測定するのは難しい。ポレンツリーは2012年にサービスを開始して以来の会員数が約9万人に達した。ハリソン氏は同サイトでのマッチングの結果、500人以上の赤ちゃんが生まれたと推測する。


恋に落ちたカップルも


 筆者は昨年5月、アンダーセンさんに話を聞き始めた。彼女はその頃、オンラインで何人かの父親候補を見つけ、会うことを始めていた。

 彼女は当初、知り合いの男性たちを検討したが、いずれもうまく行かなかった。モダミリーとポレンツリーを介して最終的に10人の男性と話をしてみた。地質学者として働く彼女は、第1子のために米モンタナ州にとどまる必要があり、選択肢は限られていた。4月にスティーブン・デュバルさん(36)と連絡を取り始めた。彼は映画業界のカメラマンで、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバー在住。彼女の家から車で10時間の距離だった。

 一方のデュバルさんは、デート相手の女性らが子どもに興味がなかったため、ポレンツリーに登録したという。そこで子育てを希望する地元との女性と出会った。相手は恋愛感情を抱いたが、デュバルさんは同じ気持ちになれず、不調に終わった。ポレンツリー経由でアンダーセンさんとやり取りを始めると、まず電話で話をした後、6月にバンクーバーで直接会うことになった。

 2人はすぐ意気投合した。アンダーセンさんは当時まだ他の男性と連絡を取っていた。だがデュバルさんに初めて会った後、筆者に対し、彼に決めたと語った。「彼は未知の領域で障害物に出会ってもクリエーティブに対処し、最後までやり遂げると感じさせる、あらゆる種類の経験を積んでいた。彼の考え方は慣習にとらわれない。それは私には非常に重要なことだ」

 デュバルさんは彼女の息子に会い、その母親ぶりを目にして、一緒に子育てしたいとの決意が固まった。彼女は息子が自分で判断を下すよう手助けすることを重視していた。「意思疎通の仕方も親としてのあり方もすばらしい」と彼は話す。

 7月末、アンダーセンさんはカナダの彼の両親と会い、彼はモンタナ州の彼女の両親に会った。両家とも2人の決断を支持したという。アンダーセンさんもデュバルさんもロマンチックな出会いを求めたわけではなかったが、2人は恋に落ちた。
 


アンダーセンさんとデュバルさんは共同養育サイトでの出会いから恋愛に発展。6月に赤ちゃんが生まれる予定だ PHOTO: LIDO VIZZUTTI FOR THE WALL STREET JOURNAL


 2人はそれぞれ医学スクリーニング検査を受け、弁護士に相談し、財務状況を互いに教え合った。

 アンダーセンさんの主治医は彼女が閉経周辺期に入りつつあるかもしれない兆候を見つけ、すぐにでも妊娠したほうがよいと勧めた。彼女は妊娠の可能性を最適化すると読んだことがある方法で食事や運動を調整し、2人は毎月会った。

 アンダーセンさんは現在、妊娠第17週に入った辺りだ。

 デュバルさんとアンダーセンさんは2人の生活環境をどうするか検討している。この非伝統的な出会いは結婚という結末を迎えるのか? 「よく私たちの会話には上るが、真っ先に話し合う問題ではない」とアンダーセンさんは言う。

 「私はロマンチストなので頭の中で何度も考えるが、今やっていること以上に重大だとは思わない」とデュバルさんも言う。

 2人は養育に関する責任を明記した法的契約書を作成する予定だ。ただ子供が生まれるまで契約は交わせないと話す。

 2人の娘は6月に生まれる予定だ。最初の出会いから約1年後となる。




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