中小の資金調達支援 県内若手経営者ら 投資ファンド設立


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 県内の若手経営者が集まり、県内中小零細企業に出資するファンドを運営する会社SCOM(エスコン)を設立した。

 24日、1号ファンド設立の会見を那覇市おもろまちの沖縄振興開発金融公庫で開いた。取締役に就いた若手経営者が、自らの起業や事業再生などを通じて得た知識や経験を生かし、資金調達や財務面のアドバイス、マーケティングやIT化の促進など幅広く支援していく。

 会社の設立は2019年10月。代表取締役には、月額制ホームページ制作などを手掛ける琉球オフィスサービス(浦添市)の藤本和之社長=写真右から2人目=が就任した。取締役には上間フードアンドライフ(沖縄市)の上間喜壽社長=同3人目、Payke(那覇市)の比嘉良寛取締役=同右端=が就いた。融資ではなくリスクを伴う出資という形を取り、本気度の高い手厚い支援をしていく。

 エスコンによると、中小零細企業に特化した民間主導の投資ファンドは、国内でもほとんどないという。昨年12月に組成した1号ファンドには沖縄銀行、沖縄海邦銀行も出資し総額は1億円。9月ごろまでに10社に出資を予定している。

 非上場の中小零細企業への出資は、株式価値の算定が難しい側面がある。エスコンは、直近1年間の経常利益を基にPAT(税引き後利益)を算出し、PATの3倍と直近純資産を合計した額を株式価値とする。出資時も買い戻し時も同じ算定式を用いる。

 経営者が出資を受けやすいように、議決権を放棄した種類株を用いる。出資から買い戻しまではファンドとしては比較的短い3年程度を想定している。

 藤本代表は「沖縄の中小企業は技術力やサービスでは都市部に負けていないが、経営の概念について差があることも事実だ。圧倒的多数を占める中小企業に持続的に関与することで収益力を伸ばし、社員や社会への還元をやってもらう」と話した。