一体どこから… 遺骨が眠る洞窟に流れ込む大量のごみ 沖縄・摩文仁の丘周辺の戦跡 収集作業のNPOが早期撤去訴える


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洞窟に流れ込んだ大量の空き缶を指さす松永光雄さん=18日、糸満市摩文仁の丘周辺

 【糸満】「遺骨がごみの下敷きになっている」―。沖縄戦戦没者の遺骨収集作業が続いている糸満市摩文仁の丘周辺で、空き缶や空き瓶、さび付いた表示パネルなどごみが山積し、遺骨収集作業の大きな妨げとなっている。当時の日本兵の認識票や骨片などが発見された洞窟にも大量のごみが流れ込んでいて、遺骨収集作業に取り組んでいるNPO法人沖縄鍾乳洞協会理事の松永光雄さん(66)は「あまりにもごみが多くて、遺骨や遺品を取り出せない」と頭を抱えている。

 ごみが山積している場所は、糸満市摩文仁の丘周辺。各都道府県の慰霊塔などがある場所の裏手で、急斜面になっている山道を下ったところにある。遺骨収集現場への道中も、さびた空き缶を踏んでパキパキっと鳴ることが度々あった。ごみの多くはジュースやビールの空き缶・空き瓶だが、中には慰霊碑の説明パネルもある。

洞窟の中の大量の空き缶。近くで遺骨や当時の日本兵の認識票などが見つかっている

 松永さんらは16日から19日まで、ごみが山積している場所周辺で遺骨収集作業を実施していた。洞窟に入り、地下5メートルほどの場所から名前が彫られた認識票や遺骨などを収集した。3年ほど前にも同じ洞窟の中から認識票が発見されている。まだ多くの遺骨や遺品が残っているとみられるが、大量の空き缶が流れ込んでいて「ごみのせいで遺骨が収集できない」状況だ。

 松永さんは「無念の思いで亡くなった人たちの遺骨や遺品がごみで収集できないなんて、あってはならない」と話し、行政が主導する形で早急な撤去を訴えている。