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【編集長インタビュー】WSJが追った高校球児、新たな野球人生へ


編集長インタビュー

By George Nishiyama
2019 年 12 月 30 日 10:44 JST 更新プレビュー



トライアウトで投球する立田将太投手(2019年11月) PHOTO: GEORGE NISHIYAMA/THE WALL STREET JOURNAL


 5年前、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はある高校球児を約1年間にわたって取材し、野球を通して見える日本社会を伝えた。そこには投手の「投げ過ぎ」問題と向き合い、時には周囲から反発を受けながらも父と共にプロを目指す異端児の姿があった。

 当時、高校3年生だった立田将太投手は小・中学校で全国制覇を成し遂げたものの、あえて強豪校には進まず地元の奈良県立大和広陵高校に入学した。2年の春の選抜大会で甲子園のマウンドに上がったが、夏の甲子園出場はかなわなかった。3年時の夏の奈良大会では準決勝で現巨人の岡本和真を擁する智弁学園に敗退している。

 2014年にドラフト6位で日本ハムに入団し、2018年には1軍登板を果たすものの、今シーズン終了後に戦力外通告を受けた。11月の12球団合同トライアウトでは元阪神の西岡剛など打者3人をノーヒットに抑えたが他球団との契約には至らず、今月社会人野球のJR北海道硬式野球クラブに入ることが決まった。

 プロ野球での5年間を終えた立田投手に話を聞いた。

ー戦力外通告を受けた時の気持ちは?

 何が起きたのか、頭が真っ白になった。もう1年やって結果を出し(1軍登録)をつかんでいこうという少し甘い気持ちもあったので、ショックだった。まだ若いので、自分に何ができるのかと不安になったが、時がたつにつれて落ち着き、次に向けて頑張れば良いと考えるようになった。

ー小学校の頃から支えてくれた父・裕和さんの反応は?

 「これで終わるわけではない。次に向けてやればいい」と。あまり重い感じではなかった。

ー5年で戦力外通告をするのは期間が短すぎるとの見方もあるが

 野球をしてお金をもらっているので、結果を出さなければ仕方ない。1軍で通用する球がないといけないし、ファームでいくら投げても1軍で活躍してお金になる職業だ。自分は覚悟の上でそこに飛び込んで行った。長くやれるに越したことはないが、若くして(戦力外と)なれば違う道を新たに築けることもあるかもしれない。僕の中でマイナスには捉えていない。

ー来シーズンからは社会人のJR北海道でプレーすることになるが、目標は?

 チームとしては都市対抗や(社会人野球)日本選手権大会だが、個人としてはいずれプロ野球への復帰を目指している。異なる環境になって自分がどう変われるか、それ次第だと思う。日ハムの同期で1軍の選手は北海道にいるので、彼らのことも意識しながら自分を高めたいと思う。


「Breaking ball 野球の栄光求める父子の挑戦」を読む≫ GEORGE NISHIYAMA/THE WALL STREET

ー「連投しない」など高校時代のやり方が注目されたが、後悔はしていないか?

 注目されることはプロになるためにマイナスではないので、嫌だと思ったことはない。(調整法は)合う、合わないがあるので、人それぞれだ。今、世間で(投げ過ぎが)話題となり、監督やコーチが意識するようになったことは良いことで、僕としてはうれしい。僕は僕のやり方を貫いてここまで来た。全然後悔していない。

インタビューを終えて

 初めて立田投手に会ったのは2013年の秋。まだ17歳の高校生とどう接していけば良いか戸惑ったのを覚えている。しかし、奈良に毎週通うようになり、彼の野球への真摯(しんし)な姿勢を目の当たりにして、むしろこちらが学ぶことが多いと感じるようになった。彼を指名した日本ハムの関係者もその野球への取り組み方を高く評価していた。今回のインタビューでも社会人野球入りを前向きに捉え、新たな環境をこれまでの自分を変えるチャンスとして考えているのには感心させられた。まだ23歳という若さなので、再度NPBで活躍する姿をぜひ見てみたい。




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