沿道の熱い声援が後押し おきなわマラソン、ランナーに充実の笑顔


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
懸命に走るランナーへ沿道から声援を送る人たち=16日、沖縄市海邦町

 【中部】フルマラソンに9932人、10キロロードレースに2389人の計1万2321人が出走した16日の第28回2020おきなわマラソン。途中、土砂降りの雨に見舞われ、一気に気温も下がる中、選手やボランティア、沿道の観客は一体となって大会を盛り上げた。「頑張って」「もう少しだよ」。沿道からのエールは絶えず、ランナーは声援に背中を押されながら、力強く駆け抜けた。

 スタートから約4キロ地点。最初にランナーを出迎えたのは和太鼓の軽快な音とアクロバティックな創作エイサーだ。昨年から合同で応援している古謝翔龍太鼓、BUNAGAYA、ぶながやぐわぁの3グループ総勢20人が迫力の演舞を見せた。

 序盤の試練である勝連城跡前の急坂。手前の交差点付近では、高江洲小学校マーチングバンド部が「勇気100%」を演奏し、ランナーを鼓舞した。部長の知念香恵さん(12)は「聞いた人が、頑張ろうという気持ちになれるといいな」と思いを込めた。坂を登り切った約13キロ地点。「メェー」と雄たけびを上げてランナーを激励するのはヤギのしず子とはる子だ。綱を引く小潮川進さん(67)も「暑いけど、まだ足は軽そうだね。みんな最後まで一生懸命走ってほしいね」と話し、2匹と共に声を張った。

 食欲をそそる匂いが立ちこめているのは中間地点を過ぎたうるま市後原付近。牛ヒレ肉を提供した牛蔵の城間真元店長は「疲れていると思うけど、これで元気になってくれれば」と肉を焼き続けた。

 午前11時すぎ、天気が一転し、大粒の雨が降り出した。「雨にも負けず、風にも負けず、ただゴールを目指してほしい」。33キロ地点で応援する南桃原自治会の島袋由香会長(46)は祈るように声援を送った。

 最後の関門となる39~40キロ地点の渡口の下り坂では、雨がっぱ姿の比嘉晴斗ちゃん(5)が「あと少しだよー」とエールを送る。最後の力を振り絞るようにランナーはゴールに向かった。