世界自然遺産目指す島の海岸のペットボトルごみ…移住者から島民に広がるマイボトル運動


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
オリジナルマイボトルをもらって喜ぶ竹富町立上原小学校の児童ら(MMO提供)

 【西表島=竹富】竹富町西表島でペットボトルごみを減らそうと始まったプロジェクト「マイボトルで水おかわり(MMO)!西表島」。世界自然遺産候補地として注目が集まる一方、島の海岸を覆う漂着ごみや、自然遺産登録で見込まれる観光客急増への懸念といった課題が西表島には横たわる。島の豊かな自然を未来へと残したいとの思いから、住民が自発的に取り組みを進める。 

 プロジェクトのきっかけとなったのは、2018年11月にあった自然遺産に関する意見交換会。参加者から提案された、給水場所の設置とマイボトルの利用促進というアイデアが、一島民としてできることを模索していたメンバーを結び付けた。すぐに実行に移され、同12月には始動した。

西表島の海岸に散乱するペットボトルなどの漂着ごみ=8日、竹富町西表島

 豊かな自然が広がる西表島だが、海岸にはペットボトルをはじめとした漂着ごみが散乱する。14年に島に移住した森村レイさん(39)は「年々ひどくなっている」と語る。

 漂着ごみの多くは海を渡ってきた物。だがメンバーは、島の内外を問わずペットボトルごみを減らす必要性を共有する。森村さんは「きちんと分別して出してもリサイクルにはたくさんの費用やエネルギーがかかる。そもそも出さない方が良い」と強調する。

 現在のMMOのメンバーは20人ほど。全員が移住者のため、「外から来た人が島民代表のように、このようにしたいと動くのはおこがましいのでは」との葛藤も抱く。ただ取り組みを続ける中で、感謝の言葉を掛けられたり、「給水どころ」になってくれたりと、島で生まれ育った人も含めた島民の理解と浸透を肌で感じるという。

 トレードマークなどのデザインを手掛ける赤塚直子さん(45)は「小中学生へのマイボトル配布などで島の子どもたちやその父母世代は知ってくれたと思う。その上の世代にも伝わってほしい」と期待を寄せる。

島内各地にある「給水どころ」の目印。この目印がある店舗では、人がいる時間であれば無料で水の提供を受けられる(MMO提供)

 島での認知度は上がってきたが、利用率はまだ低調だという。「島外にどう届けるかが課題」(森村さん)で、今後観光客などへのアピールを強化する方針だ。赤塚さんは「都会から来た人は、島の自然をすごいと感じると思う。けれども都会も地球の一部で、守らないといけないのは西表島の自然だけではない。MMOが、その生活の足元を見直すきっかけになってほしい」との願いを口にした。

(大嶺雅俊)