一斉休校、気をもむ親たち 学童休みだったらどうすれば… シングルの母親、眠れぬ夜過ごす


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室内で元気に遊ぶ子どもたち=28日、西原町の太陽学童

 新型コロナウイルスの感染拡大で、県民生活にも混乱や不安が広がっている。政府の要請を受け公立小中高校の多くが休校を決定。「乱暴だ」「学業は」「感染リスクは」。子どもを持つ親は不安を募らせ、児童生徒も困惑する。原則的に開所する保育園や学童保育の負担感は増大。人が多く集まる施設の利用やイベントの中止も相次いでいる。県内で新たな感染者は1週間出ていないが、コロナウイルスの甚大な影響に関係者は頭を抱えている。

 幼稚園に通う子がいる国頭村の会社員、田場聡さん(42)は気をもむ。村内ではインフルエンザの影響で9日間休みになった学級があり「1カ月以上の休みが続くことになる」と学力低下を危惧する。

 本島中部の小中学校は3月4日から休校、卒業式は卒業生と保護者のみで開催される予定だ。学校が終わり友人たちと集まっていた中城中3年の饒波光哉さん(15)は「卒業式に在校する後輩たちがいないのは残念だ」と肩を落とした。

 西原町の放課後学童クラブ「太陽学童」。主任の山内奈保子さん(59)は政府の突然の「休校要請」に「あまりに乱暴だ。学童の現場を理解していないのではないか」と憤る。町の求めに応じ、小学校が臨時休校となる3月3日以降、開所時間を2時間前倒しするため、人件費もかさむ。食事の準備もあり、14日間で6千円の負担を保護者に求めることになった。山内さんは「保護者には本当に心苦しい」と話す。

 太陽学童の保護者は開所を歓迎する。小学4年の息子(10)を預ける女性(32)は母子家庭。家計は厳しく、仕事を掛け持ちしている。「学童も休みになったら、子どもをどうすればいいのか」と前夜は眠れなかったという。ただ負担ものしかかる。「いつ終息するか分からないので、もう一つ仕事を探して蓄えておかないと」

 県学童保育連絡協議会によると、開所時間の調整を各クラブに委ねる市町村もある。クラブの中には職員の確保が難しく、土曜休所を検討するケースも。多くの児童が集まる中で感染も危惧される。

 県学童保育連絡協議会の伊波奈津美事務局次長は「学校と同じくらい感染リスクが高い。教育と福祉でこんなに対応が違うのかと思うと、あきれる。職員が過労で倒れてしまわないか心配だ」と肩を落とした。