「沖縄は先進医療の遅れが顕著」 心臓移植、約500~700万円立て替えに滞在費も 患者の負担重く、県に支援求めて署名


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県の糸数公保健衛生統括監(左)に陳情書を手渡す「芭蕉の会」の安里猛会長(中央)と全国心臓病の子どもを守る会県支部の宮里敏夫支部長=2月28日、県庁

 心臓移植の患者と家族を支える会「芭蕉の会」(安里猛会長)と「全国心臓病の子どもを守る会県支部」(宮里敏夫支部長)は2月28日、沖縄県外で心臓移植を受ける県民の居住費の支援を求める陳情書を県に提出した。心臓移植は県外の指定医療機関で実施されており、県内の患者は移植を受けるまでの生活費や居住費などで多額の費用を負担せざるを得ない。同会などは県に対して予算措置と支援体制の確立を求め、2万1109筆の署名も提出した。

 芭蕉の会の試算によると、心臓移植を受ける患者は保険給付されるまでの間、約500~700万円の費用立て替えが必要となる。さらに、沖縄特有の費用として滞在居住費や渡航費などさまざまな費用が必要となってくる。

 県への要請で琉球大医学部第二外科の稲福斉講師は「末期の心不全に対する治療は、究極的には心臓移植しかない」と指摘。同科の國吉幸男教授は「沖縄は先進医療の遅れがまだ顕著だ。県民はまだ大きな(医療的)格差を強いられている。このような状況で、さらに患者に過重な負担を強いるのは社会的正義に反する」と述べた。

 要請に対応した県の糸数公保健衛生統括監は「本土での居住に関して、公費で支援することの必要性について県内部で研究する必要がある」との考えを示した。安里会長は「つないだ命を支えて、助けていきたいという思いが署名に詰まっている。知事にも思いを伝えてほしい」と述べ、県への支援を求めた。