「ひめゆり学徒」の亡き親族から学んだ沖縄戦を映像に 大学生2人がコンテスト最高賞 「つながりは身近に」


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親族のひめゆり学徒をテーマにした作品で映像賞を受賞した安里拓也さん(左)と石川勇人さん=6日、糸満市のひめゆり平和祈念資料館

 75年前の沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒」のことを次世代に伝える「第2回“ひめゆり”を伝える映像コンテスト」で、沖縄国際大3年の安里拓也さん(21)と石川勇人さん(21)=いずれも那覇市=の作品「おばあのいとこ」が最高賞を受賞した。ひめゆり学徒として戦死した親戚について調べるうちに、沖縄戦に関心を持つようになったという内容で、2人は「沖縄戦とのつながりは身近にある。平和を考えるきっかけになれば」と語る。

 取り上げたのは安里さんの祖父のいとこ。お盆などで親族が集まるたびに、祖父の姉(おばあ)から「親族にひめゆりがいる」と聞かされていた。ただ、それが誰かも知らなかったという。作品のテーマを考えていたときにそのことを思い出し、親族について調べる過程を映像にした。

 安里さんらはひめゆり平和祈念資料館(糸満市)を訪問し、記録や証言を調べた。いとこは安里千江子さんといい、県立第一高等女学校3年のときに学徒動員され、隠れていた伊原第三外科壕で攻撃を受けて亡くなったことが分かった。一方で、千江子さんに関する証言はいくつかあったものの詳細な記録はなかった。

 日ごろから、沖縄戦体験者への聞き取りを行う石川さんは「証言から漏れてしまう出来事や人のエピソードは多い。作品作りをきっかけに、自分もどんなに小さなことでも聞き取るようになった」と語る。

 もともと、沖縄戦に関心がなかったという安里さん。作品中でも、偽りなくそれを表現した。ただ、制作活動を通して関心を持つことが大事だと感じた。「4人に1人が犠牲になった沖縄戦を生き延びた3人のおかげで僕がいる。その意味を強く感じている」と話した。

 映像作品は以下のリンク先から見ることができる。

https://www.youtube.com/watch?v=xO1WDcSZg_k&feature=youtu.be