やいま文化大賞に元琉大教授の川平成雄氏 台湾の引き揚げの実相を描く


社会
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第8回「南山舎やいま文化大賞」の受賞作品を発表する波照間永吉選考委員長(中央)、上江洲正和南山舎社長(左)ら=7日、石垣市の大濱信泉記念館

 【八重山】出版社の南山舎(石垣市、上江洲正和社長)は7日、同社が主催する第8回「南山舎やいま文化大賞」に元琉球大教授の川平成雄氏(70)=同市=の「台湾引き揚げの軌跡」を選んだと発表した。

 終戦直後に八重山出身者の台湾からの引き揚げに尽力した故牧野清氏の資料から引き揚げ関係文書を探し出して、台湾引き揚げの実相を描いたことなどが評価された。

 戦後の八重山の経済状況も分析し、八重山でとられた通貨政策を米軍政の「経済実験」とする新たな見解を示すなどした。

 7日に石垣市の大濱信泉記念館で開かれた会見で波照間永吉選考委員長(名桜大教授)は「引き揚げ実現の実態とその背景、引き揚げ後の生活問題、終戦直後の八重山の状況までをあぶりだす優秀なドキュメントだ」と評価した。

 八重山内外から応募のあった3作品の中から選ばれた。授賞式と記念講演は4月に行われる。

 受賞作品は、南山舎が発行する「月刊やいま」で7月から連載される。