「勤務日数を大幅に減らされた」 新型コロナで労働局に相談急増 深刻化する労働環境


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沖縄労働局

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、沖縄労働局には事業者らから雇用調整助成金や休業に関する相談が相次いでいる。相談を受け付けた4日~11日の土日を除く6日間で同局に寄せられた相談は463件で、同局が特別窓口を開設した2月14日~3月3日の12日間に寄せられた296件の約1・6倍と急増している。

 13日、同局が開いた雇用調整助成金の説明会に参加したクリーニング業の担当者は「ホテルからの注文がなくなり、2月の売り上げは前年同月比40~50%減だ。従業員も不安に感じている」と語り、感染の収束が見通せない中で経営の先行きに懸念を示した。

 全国一斉休校の要請や雇用調整助成金の対象が全業種に拡大されたことを受け、相談は徐々に増加し、1日当たりの相談件数は約77件に上っている。業種別で見ると、宿泊業が最も多く106件、旅行業76件、飲食業59件と続く。

 相談内容は雇用調整助成金の具体的な手続き内容や休業に対する対応などが主で、助成金の活用で従業員の雇用を守り、新型コロナウイルス収束までしのごうという事業者の心情がうかがえる。

 一方で、勤務時間が収入に直結するパート労働者からも「労働契約書に記入した勤務日数から大幅に減らされた」など、今後の生活を心配する切実な相談があった。

 同局は9日から新型コロナウイルスに関する雇用調整助成金の説明会を開催している。13日の説明会には約40人の事業者や社会保険労務士らが参加。西原町のクリーニング業の担当者は「ホテルからの注文がなく仕事が減った。機械でしていた仕事を手作業で行い、効率よりも雇用を守る方針に変えた」と話した。政府が在宅勤務を呼び掛けているが、情報処理業の担当者は「自宅にインターネット環境がない従業員もいて、なかなか取り組めない」と吐露した。

 社会保険労務士の堀下和紀さんは「ホテルも稼働率が2割程度になるなど厳しい状況だ」と指摘した。

 沖縄労働局職業安定部の村上優作部長は「人手不足の中、新型コロナが収束した後に観光客が戻ってくることを考えると、雇用の維持は必要だ。助成金の活用で従業員を守り、雇用を維持してほしい」と述べた。
 (関口琴乃)