米、基地別のコロナ感染非公開 「情報が敵の手に落ちることを防がねば」


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所属する米兵や家族計3人の感染が明らかになった米軍嘉手納基地

 【与那嶺路代本紙嘱託記者】米国防総省は30日、個別の基地や部隊、司令部での新型コロナウイルスの感染者数を公表しないと発表した。米軍の運用上の安全を守るためとしている。今後は軍全体の総数のみを発表する。

 国防総省は発表文で「運用上の安全への懸念から、(感染者の所属する)個別の部隊、基地、司令部での集計は公表しない。兵士、民間労働者、業者、扶養者の全体の感染者数は引き続き公表する」としている。

 基地を抱える地域への通知については「基地司令官は基地内の事例について、地域の保健当局と情報を共有することになっている」としている。

 星条旗新聞によると国防総省広報は「上層部は、敵が情報を悪用することを心配している。もしコロナが抑止力に影響するなら、我々は情報が敵の手に落ちることを防がなければならない。敵も同じようにするだろう」と話した。

 軍関係の感染者数は3月30日時点で1千人を超えた。県内では3月28日、米空軍嘉手納基地第18航空団の空軍兵2人の感染が発表された。現在、行動制限下に置かれている。

 米フォックスニュースによると、乗組員の感染が増え続けている米海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」では、3月29日までに38人が感染している。同空母には約5千人が乗船し、3月上旬にベトナムのダナンに寄港した後、太平洋上に展開していた。船内での集団感染になれば地域の抑止力が一時的に低下するとも指摘されている。