「コロナ休業」バイト学生直撃 月収1万円台「教科書買えない」


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注文があった泡盛をボトルに注ぐアルバイトの学生(本文とは関係ありません)

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、アルバイトで生計を立てる沖縄県内の学生や新卒者が、職場の休業や営業時間短縮で収入減に陥り、苦しい状況に追い込まれている。3月の給与が1万円台になった学生もいて「教科書も買えない」と不安を募らせる。一方、職場の感染防止対策の不十分さに危機感を持ちながらも「バイトしないと生活できない」として働き続ける学生もいる。「コロナ休業」のしわ寄せは、立場の弱い若者に及んでいる。

 県の委託を受けた民間の無料塾で働く琉球大学3年の男子学生は「3月上旬から塾が休みになった。これまで8~9万円だった給料が、3月分は1万円ちょっとだった」と嘆く。4月中旬まで休みが決定しているため、短期のアルバイトに応募しているが、すぐに定員が埋まってしまい、減収分を補うのも難しい。別の男子学生は「教科書も買えなくなる」と肩を落とす。

 大型商業施設のアパレル店で働く20代の女子学生も「出勤日数が半分になり、1日当たりの時間も2~3時間減った。今月の給料は家に入れる分を除くとガソリン代しか残らない」と窮状を訴える。祖父母と同居し、自身もぜんそく持ち。「感染した場合、重症化するリスクが高いが、接客業はお客さんとの距離も近く不安。でも働かないと生活できない」と、板挟みの心境を吐露した。

 今春大学を卒業し、4月から県内の観光施設で働く女性は、施設の一時封鎖が決まり、その間は給与が4割カットになるという。「親が働けないので、4月から私が家計の中心になる予定だった」と、先行きを不安視する。在学中は奨学金を借りていたため、10月からは返済も始まる。「月々の返済額は決められるけれど、余り低くすると返済期間が長くなる」と悩みは尽きない。

 一方、スーパー、塾、家庭教師と三つのアルバイトを掛け持ちしている女子学生は「スーパーでは週2枚のマスクが配られるが、出勤日はそれより多く、使い捨てを使い回している状態。塾は個別指導なので生徒と先生の距離が近いが、マスクをしていない人もいる」と、職場の感染防止対策に疑問を抱く。

 しかし、生活費をバイトで賄っているため「休むわけにはいかない」と出勤を続けている。「授業料減免の措置が受けられるかどうかは今月下旬にしか分からない。もし受けられなければ大きなお金を払うことになるので、貯金もしないといけない」と不安そうに話した。
 (稲福政俊)