首里城地下・日本軍司令部壕のAI公開も 沖縄県が「復興方針」


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 県が24日に示した首里城復興基本方針は、火災で焼失した首里城が再建された後の周辺を含めた全体像を描いている。一般公開を求める声が上がる地下の旧日本軍32軍司令部壕については、崩落の危険性があり「公開は困難」としながらも、AR(拡張現実)などのIT技術を用いて内部の公開を検討する。再建後の首里城では、会議やミーティングなどができるMICE施設としての活用を目指すなど、新たな首里城の在り方も示した。

 首里城正殿などの再建は所有者である国が進め、県は主に再建後の首里城の利活用や周辺のまちづくりなどを首里城復興基本方針に盛り込んだ。県と那覇市は総額約33億円(23日現在)の寄付金を国が進める再建工事に活用する意向を示しており、国と調整している。再建過程はその都度公開していく方針だ。

 玉城デニー知事は24日の会見で、32軍司令部壕について「苛烈を極めた沖縄戦の司令部が置かれていた歴史をしっかり後世に継承していきたい。資料やジオラマを使ったり、ITを活用したりしながら平和教育のために活用できないか構想している」と述べた。

 県担当者は、首里城をMICE施設として活用することについて「首里城は元々、琉球王国の政治、外交の舞台でもあった。これを参考にして、例えば全国知事会の会議を開催するなど幅広く検討したい」と述べた。

 今年1月に「首里城復興基本方針に関する有識者懇談会」(会長・下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長)を設置し、4回開催した。3月末に県に基本方針の骨子を示していた。