ネット使えない…自宅学習に「デジタル格差」 休校の子どもたち、学校も困った


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テレビ会議システムでオンライン授業を行うオキナワインターナショナルスクールの教諭=21日、南城市の同校

 新型コロナウイルス感染症予防のため、沖縄県内のほとんどの小中高校が臨時休校する中、自宅学習をする児童・生徒の間でデジタル格差の問題が浮上している。学校配信や文部科学省推奨の各種デジタル教材を活用して学習を進める児童・生徒がいる一方、それらの教材にアクセスできない子どもたちも出ている。県教育委員会も問題を重視し、実態調査を検討している。

 「先生、うちWi―Fi(ワイファイ)つながらない」。本島南部の公立高校に勤務する30代の男性教諭は、生徒からの相談を受けて深刻なデジタル格差を把握した。教諭は学校がホームページ上に掲載した課題だけでなく、文科省推奨の授業動画を見るように助言していた。しかし、その動画を見られない生徒がいる。「学校での授業は、家庭の環境で学力に差が出ないようにするという意味合いもある。休校で授業ができずに学力に差が出てしまうのは心苦しい」と、歯がゆい思いを語る。

 学校は固定電話の回線も少なく、生徒と電話連絡できる時間も限られる。入学式が延期されたため、新入生の連絡先を知るだけでも苦労している学校もあるという。

 一方、私立の学校は児童・生徒の通信環境を整え、休校中の機会にネットを介した教育を進化させている。

 「ハーイ、皆さん。ご飯は食べましたか?」。21日午後、オキナワインターナショナルスクール(OIS)では、教室で教師が1人、パソコンに向かって語り掛けていた。画面上には自宅にいる児童4人の顔が映し出され、オンラインの対面授業が始まった。教師は無料のアプリで自作したクイズを出題しながら授業を進行。生徒はパソコンとスマートフォンを使い分けながら、次々とクイズを解いた。同校は休校中も時間割を組んで授業を進行。児童との対話も頻繁だ。

 県教委は、インターネット環境によって休校中の学びに差が出ている現状を懸念する。ただ、客観的なデータで格差を把握できておらず、教育支援課が実態調査に乗り出す予定だ。同課担当者は「ネット環境のない児童・生徒がいると想定できる。急いで実態を把握し、改善に生かしたい」と語った。
(稲福政俊)