面前DVの認識不足 千葉女児虐待死 沖縄県の検証委が報告書


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 2019年1月に千葉県野田市立小4年の栗原心愛さん=当時(10)=が自宅浴室で死亡した虐待事件で、沖縄県内の関係機関などの対応を検証し再発防止策を検討する、県の検証委員会の報告書が30日にまとまった。心愛さんは以前、県内で暮らしていた。

 報告書では「子どもの目の前でのDV(家庭内暴力)が子への心理的虐待との認識が薄く、子ども本人や母親への積極的な介入がなく、家族の全体像把握が不十分」などと指摘した。再発防止への提言として、踏み込んだ声掛けによるSOSを発しやすい環境づくり、児童相談所から市町村へ具体的・丁寧な助言や対応、弁護士への常時相談体制の構築、情報共有システムの導入などを挙げた。

 県の児童相談所は2017年7月7日、心愛さんの父から「親族が子どもを引き取り、返してくれない」との電話相談を受けた。父に来所相談を促すも、父が来所することはなかった。同月14日、心愛さんの妹を父へ引き渡すことの可否について、児相は糸満市から相談を受けた。児相は「情報が少なく判断できない。市で情報を整理し、必要に応じて連絡してほしい」と回答した。

 この児相の対応について、報告書では「必要な情報や整理する内容をより具体的に助言する必要があった」「同一家庭の情報を効率よく蓄積するシステムがなく、家庭全体のリスク評価に結びつかなかった」と指摘した。

 検証委員会は医師や弁護士ら5人の委員で構成する、県社会福祉審議会児童福祉専門分科会審査部会が担った。渡辺浩樹部会長が同日玉城デニー知事に報告書を手渡した。玉城知事は「これまでの取り組みに盲点が存在していたとの指摘だと受け止めた。すべてを連携させていくという、確認作業を日々重ねたい」と述べた。