所得「半分以下」33% 本紙県民調査 「食料買えない」26% 新型コロナ 「心理的苦痛」44%


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 新型コロナウイルス感染症の流行後の生活の変化を聞くため琉球新報社が実施したアンケートで、感染症流行前と比べて1カ月の給与や手当などの手取り額(所得)が「半分以下になった」と答えた人が33・7%で3人に1人に上った。「お金がなくて食料や生活物資を買えない」と答えた人も26・9%いた。暮らしへの不安などから気分障害や不安障害に相当する心理的苦痛を感じている人も44・9%に達し、危機的な状況にある県民が多数いることが明らかになった。調査は沖縄大学地域研究所の協力で実施し、2456件の回答が寄せられた。

 感染症流行前と比べた給与や手当などの手取り額については「半分くらいになった」が10・7%、「2~3割くらいになった」が8・5%、「1割以下」が14・5%で、合わせて33・7%に上った。「その他」を選んだ人の中には「解雇された」「ゼロ」などの記入もあり、実際はさらに厳しいとみられる。

 生活上の困りごとを聞く項目では「食料や必要な生活物資を買えない」とした人が26・9%いたほか、「家賃や住宅ローンを払えない」も25・4%に上り、食・住という生活の基盤が脅かされている人が3人に1人に上った。「倒産したり解雇されたりした」とした人も13・0%いた。

 心の状態を表す指標では、気分障害や不安障害に相当する心理的苦痛を感じている人(10点以上)が44・9%に達した。国の健康施策「健康日本21(第2次)」はこの目標値を9・4%と設定しており、県内では2010年の国民生活基礎調査を元にした分析では8・1%だった。この激増ぶりに沖縄大学の山野良一教授は「大災害時に匹敵する精神状態と言える」と分析した。

 自由記述には仕事や収入の減少に加えて先行きの見えなさ、感染への恐怖、子育てや孤立への不安を訴える声が並んだ。
 (黒田華)


 ▽調査の方法

 調査は4月28日~5月6日に実施、2456件の回答があった。個人の収入や勤務時間の変化、生活上の困りごとや必要なものなどをインターネット上のアンケートフォームで答えてもらった。琉球新報の記事やSNSで周知したほか、食料支援を行う「おきなわこども未来ランチサポート」の利用者などに呼び掛けた。回答者の98・5%は居住地を「沖縄県内」と答え、30代と40代が約7割を占めた。職業や職種の割合は県内就労者の構成をおおむね反映していた。