辺野古「軟弱地盤」1997年に可能性示唆 政府の委託調査


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、1997年に政府が実施した調査で、大浦湾深くに軟弱地盤がある可能性が示唆されていたことが、8日までに分かった。政府の委託業者が作った推定地層断面図は、大浦湾の水面下約90メートルまで比較的新しい時代にできた地層「沖積層(ちゅうせきそう)」が堆積していることを示している。沖積層は一般的に軟弱とされる。

埋め立て工事が進む辺野古沿岸部。右は軟弱地盤が存在する大浦湾一帯=2019年2月23日、名護市の大浦湾(小型無人機で撮影)

 水面下約90メートルまで沖積層が堆積していることが分かった地点は現行の埋め立て予定地より東側だが近接している。専門家らは政府の97年調査を基に「現行予定地の軟弱地盤は早い段階で予見できた」などと指摘した。

 仲井真県政時代の2013年には軟弱地盤の存在を示さず埋め立て承認を得た。現行の埋め立て予定地の直下についても沖縄平和市民連絡会メンバーで土木技師の北上田毅氏は18年3月に情報公開請求で得た資料を分析し軟弱地盤の存在を指摘したが、政府は19年まで認めなかった。

 軟弱地盤に対応するための設計変更を行い、20年4月21日に知事の承認を県に申請した。政府は地盤を強くする改良工事を計画しているが、調査段階で「軟弱地盤の危険性を低く見積もっている」「政府の改良工事では不十分だ」などの指摘が専門家らから相次いでいる。