避難所3密どうする…台風シーズン、自治体「難しい」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルス感染症を巡り、災害時における避難所での過密対策が課題となっている。大型連休中の2日と6日、南城市や八重瀬町は土砂災害警戒情報などの発表を受け、避難所を開設した。コロナ禍で3密防止が呼び掛けられている中での対応について、自治体職員は「率直に言って難しい」と吐露した。12日には台風1号が発生し、これから本格的な台風シーズンを迎える中、各自治体は3密回避と避難所確保の対応にも迫られている。

大雨や台風で避難所として開放される八重瀬町役場の1階ロビー。新型コロナウイルス感染拡大を受け、普段から3密回避のためにテーブル間の距離を取っている=11日、八重瀬町役場

 国は4月、「可能な限り多くの避難所の開設」「十分な換気の実施」などを盛り込んだ「避難所でのコロナ対応」を自治体に求めた。一方、自治体もコロナ禍への感染拡大防止などに追われている状況がある。

 連休中の大雨では、県内各地で道路冠水や車両浸水の被害が発生した。南城市役所には女性1人が避難した。女性は畳の間で雨が収まるのを待ち、帰宅した。

 南城市は3密を防ぐため、間仕切りとしてテント約70張りを用意した。しかし、市職員は「大勢の避難者が押し寄せた場合の対応は課題だ」と頭を悩ます。2018年9月の台風24号の際、市民100人が市役所に避難した。市担当者は「今年は絶対に3密を避けなくてはならない。早く対策を示したい」と語った。市は避難所開設の費用について、災害対策費用保険で賄う。担当者は「避難所内のコロナ対策もできれば保険適用にしてほしい」と訴えた。

 同じく18年の台風24号で、八重瀬町では23世帯39人が避難した。町は町役場1階ロビー、休憩室などを開放した。今月の大雨で町内に避難者はいなかったが、3密を回避した上での避難所開設に対して町担当者は「今までよりも気を使うし、難しい」と話した。 避難所内でのクラスター(感染者集団)の発生を恐れる町担当者は「会議室など、これまで以上に多くの場所を避難所として確保したい」としている。だが、避難所でのマスク、距離を保つ間仕切りなどの整備は追いついていないという。

 6日、糸満市ではレーダー解析の1時間雨量で120ミリを記録し、冠水被害が相次いだ。避難所の開設には至らなかったものの、市職員はコロナ禍での天災への対応で焦燥感に駆られる。4月から新型コロナウイルス感染症に対応した避難所マニュアルの作成に着手したが、3密を回避できる避難所の増設などに時間がかかっている。市職員は「天災は待ってくれない」とため息をついた。

(照屋大哲、嘉数陽、金城実倫)