キジバトの恩返し? 猫に襲われた傷だらけのハトを助けたら…


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キジバトが巣を作ったリュウキュウコクタンの前で話す大城學さん=12日、今帰仁村字仲宗根の大城さん宅

 【今帰仁】警戒心の強い「リュウキュウキジバト」のつがいが、今帰仁村の大城學さん(77)宅に巣を作り、ひな2匹が巣立っていった。「家に巣があると縁起がいい」と言われるキジバト。35年ほど前、大城さんが1羽のキジバトを保護して以来ほぼ毎年、“恩返し”のように巣作りで訪れるようになった。

 35年ほど前、自宅すぐそばの空き地で猫に襲われて傷だらけになったキジバトを見つけた。大城さんは「理由はなかった。取りあえず生かさないと」と両手で抱え、家に連れて帰った。

巣の中のキジバトのひな(大城學さん撮影)

 10カ所以上あった傷口にヨードチンキ(消毒液)を塗った。鶏小屋に入れて上に雨よけを作り、米粒や豆を与え回復を待った。2カ月が過ぎると、小屋から出て元気よく飛び回っていた。

 その後ほぼ毎年、家の庭にあるリュウキュウコクタンの木に巣を作っている。今年は4月中旬に巣を確認し、5月初めにひなが巣立っていった。大城さんは「もしかしたら、(保護した鳥の)ずっとずっと孫かもしれないね」と頬を緩めた。

 大城さんは教師を定年退職した後は毎朝のウオーキングが日課で、今も畑仕事に精を出している。自然が身近にあり、家にはシジュウカラやシロハラ、コゲラなども訪れる。「巣作りもいつものことだから、特に何も思わないよ」と言うが、愛鳥週間に鳥の思い出話は止まらなかった。
 (喜屋武研伍)