消えた動員や鉢巻き…県議選第一声 頼みは電話やSNS


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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため握手の代わりに拳を合わせる支持者=29日午前、本島南部

 29日に告示された沖縄県議選。各地で行われる出発式・出陣式では、各陣営が参加者の数を競い合うのが通例だが、「3密」を避けようと第一声の場面も一変した。人数を制限して応援弁士の参加を断ったり、出発式そのものを中止したりと、各陣営が神経をとがらせた。選挙活動を「自粛」する候補者がいる一方、「きちんと政策を届けたい」と、第一声をインターネットで生配信する陣営も。新型コロナウイルスの対策に追われつつも、各陣営が知恵を絞り、政策浸透に工夫を凝らした。

 「このご時世ですので、身内だけの集まりとさせていただきます」。ある候補者の出発式前に、こんなアナウンスが流れた。集まった約30人全員がマスクを着用し、空き地に入る前にアルコール消毒を徹底させた。応援弁士は「携帯電話に登録している人全員に投票をお願いしたい」と電話作戦を訴えた。

 別の候補者の陣営では、鉢巻きは不特定多数が使用し使い回しできないため、出陣式での配布をやめた。応援弁士を呼ばす、候補者と後援会長、選対本部長による訴えのみで、式の簡素化を図った。陣営の選対本部長は「密にならないよう小規模集会となった。これまでの方法と新型コロナ対策の両立は難しい」と頭を抱えた。

 ある候補者は、支持者らに出発式に参加しないよう促した。式の人数を10人以下に制限し、東京からの応援弁士の来県も断る徹底ぶり。陣営担当者は「第2波、第3波を警戒している。候補者の訴えを動画で撮影し、生配信しているので、家にいながら聞くことができる」と、会員制交流サイト(SNS)での政策浸透をアピールした。

 従来通りの出発式を実施した陣営もあった。集まった約70人の支持者らを前にした候補者は「本当に苦しい選挙戦で、ほとんど何もできなかった。皆さんのおかげで告示日を迎えられた」と感極まり、涙ながらに第一声を発した。従来通りの熱気を受けつつも、握手は封印。一人一人におじぎをして遊説カーに乗り込んでいった。 (’20県議選取材班)

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